2006 Fiscal Year Annual Research Report
自然クローン・倍数体を遺伝資源とした魚類育種技術の開発に関する研究
Project/Area Number |
18380108
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
荒井 克俊 北海道大学, 大学院水産科学研究院, 教授 (00137902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 周一 北海道大学, 大学院水産科学研究院, 教授 (80125278)
山羽 悦郎 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (60191376)
村上 賢 麻布大学, 獣医学部, 教授 (80271360)
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Keywords | クローン / 倍数体 / 雌性発生 / 雄性発生 / 性転換 / 減数分裂 / 単為発生 / 非還元配偶子 |
Research Abstract |
1.非還元配偶子を遺伝資源としたクローン等作出の実証:ドジョウにおける卵子の遺伝的不活性化のための紫外線処理条件を詳細に検討し、核-細胞質置換系作出のための雄性発生誘起条件を明らかにした。また、メチルテストステロン処理により雄に性転換したクローン雄を飼育し、これらの作出する2n精子によりクローンの2n卵を受精し、4倍体誘起を試みた。2倍体-3倍体モザイク雌について生殖特性解明を試み、これらは1n卵、非還元2n卵、非還元3n卵を同時に産むことを示した。 2.交雑による非還元配偶子形成の誘導:北海道網走地方大空町(M)と同空知地方岩見沢市(K)より得た野生集団ドジョウを用いて作出した集団間雑種M×Kのうち成熟個体について生殖特性を検討した。その結果、雑種には、2n非還元卵のみを産む雌と、2n卵と1n卵の両方を産む雌の両方が見られ、後者では2n卵の比率が高い場合と低い場合があった。2n非還元卵を受精した場合、1n精子核を取り込み3倍体として発生し、自然雌性発生は起きなかった。雑種雄の精液には半数性、2倍性、4倍性の細胞が認められたが、接水後活発な運動を示す精子様細胞は著しく少なかった。人工受精により、ごく僅かの2倍体および3倍体個体が生じ、DNAマーカー解析の結果、集団間雑種における非還元2n精子の産生が示された。サケ科では10組合せで人為交雑を行い、生じる胚の細胞遺伝学的分析を行った。また、既に作出済みのサクラマス×カワマス雑種雄において生殖特性を調べたところ、多くは不妊であるが、ごく少数の雄において非還元精子形成が生じることが判明した。 3.非還元配偶子形成と単為発生開始の機構解明:性転換クローン雄において、精巣の細胞学的細胞遺伝学的検討を行なったところ、2n精子は減数分裂前核内分裂の機構により形成されることが判明し、核内分裂に時期は精原細胞期であることが推定された。
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