2006 Fiscal Year Annual Research Report
レトロウイルスを用いたDNAワクチンに代わる新たなRNAワクチンの開発
Project/Area Number |
18380110
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西澤 豊彦 北海道大学, 大学院水産科学研究院, 助教授 (10222184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉水 守 北海道大学, 大学院水産科学研究院, 教授 (40122915)
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Keywords | ワクチン / 魚類ウイルス / 伝染性造血器壊死症ウイルス / ウイルス性出血性敗血症ウイルス / ウイルス性神経壊死症ウイルス / レトロウイルス / 遺伝子パッキング |
Research Abstract |
本研究では、従来のコンセプトとは異なる新しいワクチン「RNAワクチン」の開発・確立を目標としている。RNAワクチンとは、発現させたい感染防御抗原遺伝子をmRNAとしてウイルス粒子にパッキング後供給し、感染防御抗原遺伝子を標的細胞で発現させ、DNAワクチンと同様の免疫を誘導するものである。具体的には、魚類のレトロウイルスであるSnRVをRNAパッキング用ウイルス粒子原に用い、我が国の水産増養殖で甚大な被害をもたらしている伝染性造血器壊死症ウイルス(IHNV)、ウイルス性出血性敗血症ウイルス(VHSV)あるいはウイルス性神経壊死症ウイルス(NNV)のRNAワクチン開発をゴールとする。そこで本年度は、RNAワクチンの構築にあたりSnRV、IHNV、VHSVおよびNNVの遺伝子をクローニングとその解析を中心に行い、以下の成果を得た。 1.レトロウイルスであるSnRVのゲノムは、LTR、プサイ配列、GagPol、Env遺伝子で構成される。そこで、LTR、LTR+プサイ配列およびGagPol遺伝子をSnRV感染細胞のゲノムより増幅し、クローニングベクターに組込み、各ORFの存在を確認した。SnRVのEnv遺伝子は、SnRV感染細胞内のmRNAよりEnv遺伝子をRT-PCRにより増幅し、クローニングベクターに組込み、ORFの存在を確認した。 2.一方、IHNV、VHSVおよびNNVゲノムから、感染防御抗原タンパク質であるG遺伝子およびCP遺伝子を、IHNV遺伝子のRNAポリメラーゼ(L)遺伝子を、さらにレポーター遺伝子として用いる予定の緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を各々クローニングし、ORFの存在を確認した。 3.上記遺伝子を材料に、LTR-GagPol-LTRを真核細胞用発現ベクターに組み込んだpCR-GagPol、LTR-Env-LTRを組込んだpCR-EnvおよびLTR-プサイ-GFP-LTRを組込んだpCR-GFPプラスミドを構築した。 4.トランスゾームおよびリポフェクタミンを用い、プラスミドpCR-GFPでBF-2細胞を形質転換したところ、各々の形質転換高率は1%および30%であり、以後の形質転換実験ではリポフェクタミンを用いることとした。
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