2007 Fiscal Year Annual Research Report
内湾環境比較に基づく三陸沿岸域の複合養殖生産の最適化
Project/Area Number |
18380113
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古谷 研 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30143548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒倉 寿 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (50134507)
武田 重信 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (20334328)
岸 道郎 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 教授 (90214767)
大西 広二 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教 (80241371)
齊藤 宏明 水産総合研究センター, 東北区水産研究所, 室長 (30371793)
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Keywords | 環境収容力 / 複合養殖 / 物質循環 / 物理-生態系モデ / 三陸地方 / マボヤ |
Research Abstract |
昨年度に続き,大船渡湾における係留観側を行った。ADCPは湾内3カ所に設置し,2008年3月まで通算1年間の連続流速データを得た。湾内の流動特性について現在データ解析を進めている。事前蛍光高度計および硝酸塩計,自然蛍光光度計,溶存酸素計,水温塩分計の係留は2007年9-10月に行い,硝酸塩濃度の経時変動の把握に成功した。漁業経営の実態把握については,大槌湾から隣接する地域において聞き取り調査を行い,漁家経営における養殖生産の意義について解析を進めている。大槌湾を始め三陸地方ではマボヤの養殖規模が増加しつつあり,輸出が好調なことを反映して規模の拡大は,既往の濾過食性貝類ホタテガイおよびマガキと餌料の競合が懸念される。このため,マボヤの餌料選択性,濾水速度,炭素同化活性を植物プランクトン培養株を用いた摂餌実験から解析した。その結果,マボヤは大きさ2ミクロンのMicromonasを効率よく摂食すること,大型珪藻類に対する摂餌は小型の粒子に比べて小さいことが明らかになった。殻を除いた乾燥重量あたりの炭素量は1個体あたり平均207μgCh^-1で,そのうち体内に取り込んだ炭素量は平均48.9μgCh^-1であった。ホタテガイで得られている既往知見から,マボヤはホタテガイより炭素ベースで多く食べるが同化効率は低いことが明らかになった。現在大槌湾内においてマボヤの水揚げ高はホタテガイの五分の一程度を占めており,またホタテガイやカキといった二枚貝と同じ濾過食者であるために,現在の養殖密度では,餌料選択性の違いから問題は無いが,マボヤが現在よりも高密度で養殖が行われると他の濾過食性動物と餌の競合を起こす可能性があることがわかった。
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Research Products
(5 results)