2008 Fiscal Year Annual Research Report
長期動物プランクトンデータを用いた海洋生態系の地球規模変動機構の解明
Project/Area Number |
18380121
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
千葉 早苗 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球環境フロンティア研究センター, 主任研究員 (40360755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉崎 宏哉 独立行政法人水産総合研究センター, 中央水産研究所, 室長 (50371795)
桑田 晃 独立行政法人水産総合研究センター, 東北区水産研究所, 主任研究員 (40371794)
田所 和明 独立行政法人水産総合研究センター, 東北区水産研究所, 研究員 (70399575)
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Keywords | プランクトン / 海洋生態 / 環境変動 / 北太平洋 / オダテコレクション / 安定同位体比 / 長期変動 / 海域比較 |
Research Abstract |
(長期変動の海域比較と国際協力)北太平洋における低次生態系の長期変動の実態を海域比較するために,北海道大学,カナダ海洋漁業省の協力にもとづき西部,中央,東部北太平洋域亜寒帯域で採集された動物プランクトン(Neocalanus種)標本の安定同位体比を比較研究した。その結果,窒素安定同位体比(δ^<15>N)が栄養塩が豊富な海域では低く,栄養塩の乏しい海域では高いという地理分布があることが分った。経年変動の結果からは海域により異なるメカニズムでδ^<15>Nが変化していることが示唆された。すなわち,西部海域および中央部の高緯度域では植物プランクトンの生産が低い寒冷年にδ^<15>Nが高くなる傾向が有り,光制限による食物網の変化を反映していることが考えられた一方で,東部海域および中央部の低緯度海域では,南方からの貧栄養な水の影響かおる温暖期ににδ^<15>Nが高くなる傾向が分り,栄養塩制限による食物網の変化を反映していることが示唆された。これらの成果をH20年5月の国際シンポジウムにて発表した。またH21年度には科学雑誌の特集号にて出版予定である。 (現場観測)海洋環境や植物プランクトンの量・質的変化に応じて動物プランクトンの安定同位体比がどのように変化するのかを詳細に調べるため,東北水産研究所の定線観測において動物及び植物プランクトンの標本を採取し分析した。その結果,春から夏にかけて栄養塩濃度が減少するに従って植物プランクトン(POM)および動物プランクトンののδ^<15>Nが高くなることが分った。この結果から動物プランクトンのδ^<15>Nの経年変動が,海域の植物プランクトン生産の変動を反映していることが推測された。
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