2006 Fiscal Year Annual Research Report
水生動物におけるアミノ酸ラセマーゼの分子系統学的解析
Project/Area Number |
18380123
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 宏喜 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (80086727)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 茂 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (00224014)
吉川 尚子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助手 (30392533)
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Keywords | D-アミノ酸 / D-アラニン / D-アスパラギン酸 / アラニンラセマーゼ / アスパラギン酸ラセマーゼ / 水生動物 / 生理機能 / 分子進化 |
Research Abstract |
遊離のD-アラニン(Ala)およびD-アスパラギン酸(Asp)の水生動物における生理機能を明らかにするため,本研究においては無脊椎動物におけるアラニンラセマーゼ(ARase)およびアスパラギン酸ラセマーゼ(DRase)について検討を加えた. 1.クルマエビ諸組織について詳細にD-アミノ酸の分布を調べた結果,D-Alaはすべての組織に存在し,高浸透ストレス下では多くの組織で増加を示したが,神経系では変動しなかった.一方,D-Aspは脳および視神経にのみ存在し,高浸透ストレス下でも変化しなかった.D-グルタミン酸が精巣にのみ著量検出された. 2.ミルクイ中腸腺からクローニングしたARaseのcDNAの塩基配列を基に大腸菌を用いてARaseを発現させ,クルマエビARaseと相同性のある活性酵素が得られた. 3.環形動物多毛類6種について遊離D-アミノ酸を調べたところ,サシバゴカイ目の3種にのみD-Alaが認められた.最も含量の高いアオゴカイでは高浸透ストレス下でD-Alaは増加を示したが,ARase活性の変動は認められなかった. 4.アオゴカイ体壁からmRNAを調製し,ミルクイARaseの塩基配列を基に合成したプライマーを用いてPCRを行い,既知のARaseと相同性のある3つの異なる配列が得られた. 5.スルメイカ視神経からDRaseのcDNAをすでにクローニングした.D-Aspの組織別分布をマダコを用いて詳細に調べた結果,D-Aspは脳神経,視神経,腕神経に数μmol/g存在し,全Aspの90%以上を占めていた.その他の組織においては痕跡程度であった.一方,D-Alaはどの組織にも検出されなかった.
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Research Products
(1 results)