2007 Fiscal Year Annual Research Report
食品安全・資源循環属性表示が消費者の購入行動と厚生に及ぼす影響の選択実験分析
Project/Area Number |
18380128
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
澤田 学 Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine, 畜産学部, 教授 (60142791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 和夫 酪農学園大学, 酪農学部, 准教授 (70347756)
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Keywords | 牛肉 / 飼料自給率 / 選択実験 / 限界支払意志額 / 義務表示 / 任意表示 |
Research Abstract |
わが国の牛肉生産と飼料自給の現状に関する消費者の意識をアンケート調査に基づいて明らかにするとともに、飼料自給率を高めて生産された国産牛肉である旨の表示が消費者の牛肉に対する価値評価と選択行動にどのように影響するのか、アンケート調査で収集した選択実験回答により分析した。 7割以上の回答者は、最近のバイオ燃料ブームによる穀物の国際価格高騰と、わが国が飼料用トウモロコシのほとんどを米国に依存していることは知っていたが、 1.それらの事実がわが国の牛肉生産に及ぼす影響、および牛肉と飼料の自給率の現状についてはよく知らない2.飼料自給率向上の効果については理解しているものの、国産牛肉の購入時には飼料自給率向上のメリットとして、餌への安心感が高まること、国産牛肉の安定供給が図られる点が重視される一方、環境負荷の軽減や地球温暖化抑制への貢献は重視されない傾向が顕著に認められた。 国産牛肉の飼料自給率属性を、現状の27%、50%、100%のいずれかに設定して、黒毛和牛、国産牛、豪州産牛、「どれも買わない」から1つを選ばせる選択実験の回答データに条件付きロジットモデルを適用した分析から、 3.飼料自給率表示が国産牛肉の消費者評価に及ぼす効果は、完全飼料自給の場合、いずれの種類の国産牛肉でも高くなる一方、飼料自給率を現状から50%に高めた場合、黒毛和牛では評価額は不変だが、国産牛では逆に低下することが確かめられた。 4.飼料を完全自給して生産された国産牛肉の価格プレミアムは、国産黒毛和牛で通常生産牛肉の支払意志額の10%だが、国産牛では20〜25%に相当すると推計された。 今後、以上の諸結果の背景にあると考えられる消費者の意識・態度について、さらに分析を進めることにしたい。
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