2006 Fiscal Year Annual Research Report
生物多様性を増進する水田の特徴解析と空間スケールを考慮した戦略的配置に関する研究
Project/Area Number |
18380144
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
石田 憲治 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究所・農村環境部, 研究チーム長 (60391174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶺田 拓也 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究所・農村総合研究部, 主任研究員 (70360386)
粟生田 忠雄 新潟大学, 自然科学科, 助手 (10282998)
田村 孝浩 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (20341729)
日鷹 一雅 愛媛大学, 農学部, 助教授 (00222240)
谷本 岳 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター・水田利用チーム, 主任研究員 (40414619)
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Keywords | 生物多様性 / 環境質定量化 / 冬季湛水水田 / 空間スケール / 農村計画 / ビオトープ / 地域資源管理 |
Research Abstract |
宮城県大崎市(旧田尻町)伸萌地区および新潟県阿賀野市笹神地区の冬期湛水水田圃場ならびにその周辺環境に関して、植生および水生昆虫や魚類等を中心に生物の生息分布状況を把握した。調査は、調査対象とする冬期湛水水田圃場を含む地区内に、冬期湛水水田、慣行田、休耕田、畦畔、水路、ため池、その他のランドスケープ単位に予めグリッドセル化して設定した代表地点について行った。 冬期湛水水田と通年湛水のビオトープ水田でのヤゴ生育状況調査では、冬期湛水水田でほとんど採種されなかったのに対してビオトープ水田では約100匹/m^2の高密度の生息を確認した(笹神地区)。これは冬期湛水水田がヤゴの天敵であるアメリカザリガニの越冬地になっていたためと判断された。また、降雨等の増水のない水路内流速10cm/s以下のもとで実施した生息魚類の調査では、伸萌・笹神地区ではそれぞれ2科6種、4科6種が捕獲され、個体数ではタモロコ(伸萌地区:112個体)、ドジョウ(笹神地区:57個体、伸萌地区:14個体)、モツゴ(伸萌地区:39個体)、メダカ(伸萌地区:28個体)、ヤリタナゴ(笹神地区:15個体)などが多く見られた。 冬期湛水水田における圃場水収支を試算(笹神地区:7アール、調査期間41日間の平均)したところ、1日当たり4.25mmと算定された。また、湛水管理を水深約15cmを目安に実施していること、水源確保については、排水路からの重力灌概が主体であること、ポンプ利用の際のコスト負担、水利権上の制約が冬期湛水の実施に大きな課題であることが確認されるとともに、環境用水としての管理体制整備や冬期湛水水田から収穫される水稲の高付加価値化による課題解決の萌芽が関係地区ならびに比較対照地区での聞き取り調査等により確認された。 今後、これらの知見を踏まえて統合的な視点から分析を深め、平成19年度研究内容に反映することとしている。
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