Research Abstract |
本年度は,密度計測装置の高速化を図るとともに,地域の異なる2箇所のキウイフルーツ農園において収穫時密度を測定し,密度の差異がその後の熟度進行に及ぼす影響と,それらの関係に産地の違いがどのように影響するかについて実験的な検討を行った.11月10日から12日にかけて岐阜県関市,11月16日から18日にかけては静岡県掛川市のキウイフルーツ農園でヘイワード種の収穫時密度(約2,300個)を計測し,予冷後直ちに岐阜大学の実験室に持ち帰り,密度別の追熟実験を行った.密度計測装置は,懸架式電子天秤に真鍮製共鳴容器を組み込む構造の計測装置を試作した.この装置により密度測定時間を昨年度の半分以下にすることに成功した.また,試料体積が55〜125cm^3の範囲でr2=0.99999,SEC=0.079cm^3の体積推定精度となり,キウイフルーツの密度選果には有効な測定精度が得られた.追熟実験では,15℃または25℃でエチレン濃度150ppmの雰囲気に24時間暴露したのち,エチレンを含まない15℃の雰囲気下で保管し,全糖量,デンプン量,Brix値,硬度の経日変化を測定した. 以上の計測結果から,収穫時密度と糖度には高い相関があり,またこの相関には産地間差異がないことから,どの圃場においても同じ較正曲線が利用できる可能性があることが明らかとなった.最終糖度に至るまでの熟度進行速度に,収穫時密度による差異の影響を見出すことはできなかった.従って,流通段階で密度別に追熟条件を考慮する必要は無いと考えられる.ただし,収穫後に一定の低温貯蔵期間をはさむと,密度は高いにも関わらず最終糖度が予測より低くなる可能性が示唆された.このことについては更なる検証が必要であるが,こうした傾向があるとすれば,高密度果実から出荷すべきであり,本システムの実用化に際して,密度と貯蔵履歴を十分考慮する必要があるものと考える.
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