2006 Fiscal Year Annual Research Report
食肉の保健的価値として相応しい抗ストレス・抗疲労作用を備えたペプチドの機能と利用
Project/Area Number |
18380160
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
有原 圭三 北里大学, 獣医畜産学部, 助教授 (00175994)
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Keywords | 食肉 / 保健的機能性 / ペプチド / 抗酸化作用 / 抗ストレス作用 / 抗疲労作用 / タンパク質 / プロテアーゼ |
Research Abstract |
本研究は、食肉タンパク質をプロテアーゼにより分解させた際に生成する抗酸化ペプチドに注目し、その生体内における機能として抗ストレス・抗疲労作用に焦点を定め、検討したものである。食肉タンパク質をプロテアーゼ処理すると、抗酸化ペプチドが生成する。これまでの検討から、食品用酵素として安価に入手でき、高い安全性が確認されているパパインの利用が適当と考えられた。鶏肉等の食肉タンパク質をパパインで分解させると、多くの抗酸化ペプチドが生成するが、その代表的なものとして、Asp-Leu-Tyr-Ala等のペプチドを同定した。このような配列の合成ペプチドや食肉タンパク質分解物をマウスに経口投与した場合に、抗疲労作用を示すことがトレッドミルを用いた強制走行試験の結果から明らかとなった。また、ラットの水浸拘束試験の結果からは、抗ストレス作用があることも示された。また、鶏肉タンパク質のパパイン分解物をヒトが経口摂取した場合にも、抗疲労作用がもたらされることが判明した(トレッドミルによる走行試験の結果)。鶏肉タンパク質のパパイン分解物をヒトが経口摂取すると、唾液アミラーゼ活性、血液乳酸値、血液ヒドロペルオキシド値、GPT値等の低下が認められた。これらの値の低下は、鶏肉分1解物の経口摂取が体内における活性酸素による酸化傷害を抑制させることにより、肉体的あるいは精神的ストレスを緩和させることが示唆された。このような作用により抗疲労効果がもたらされるものと考えられる。本研究の検討により、ヒトにおいて鶏肉分解物の経口摂取が効果を示したことから、食品やサプリメント素材としての利用が多いに期待できる状況に到達することができた。また、一連の研究過程において、ストレスや疲労程度を判定するのにきわめて有効と考えられる血清中のバイオマーカーについても価値ある成果を得ることができた。
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Research Products
(3 results)