2008 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳子牛のサイトカイン産生能に対するラクトフェリンの調節作用と臨床応用
Project/Area Number |
18380161
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
櫛引 史郎 National Agricultural Research Organization, 畜産草地研究所栄養素代謝研究チーム, 上席研究員 (30355218)
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Keywords | 哺乳子牛 / ウシラクトフェリン / サイトカイン |
Research Abstract |
ホルスタイン種雄子牛48頭を用い、ウシラクトフェリン(LF)の給与が白血球におけるサイトカイン発現、リンパ球の動態、血漿中サイトカインおよびホルモン濃度に及ぼす影響について検討した。48頭を4区に分割配置して、生後3日から21日間LFを給与した。給与量は1日1g(LF-L区)または3g(LF-M区)、5g(LF-H区)とし、0gを対照区とした。子牛にはホルスタイン種の全乳を1日当たり体重の12%(朝5%、夕方7%)を給与し、LFは全乳に混和して給与した。採血は朝の哺乳前に行い、LF給与前(0d)、翌日(1d)、2日目(2d)、7日目(1w)、14日目(2w)、および21日目(3w)にEDTAまたはヘパリン加真空採血管に採取した。全血からの白血球およびmRNA抽出は市販のキットを用い、逆転写したcDNAを-80℃に保存した。ウシサイトカインのプライマーを設計して、cDNAをサンプルとしてリアルタイムPCR法でサイトカインのmRNA発現量を解析した。リンパ球の動態はフローサイト分析を行った。血漿中サイトカイン濃度はELISA、ホルモン濃度はRIAで定量した。LF給与区における白血球IL-2の発現量は、対照区に比べて日齢の経過と共に顕著に増大した。LF-H区ではリンパ球に占めるNK細胞の割合が増加した。血漿中IL-4およびIFN-γ濃度は、LF-HおよびLF-M区で1dから3wにかけて対照区に比べて高いレベルを示した。また、血漿中成長ホルモン濃度はLF給与区で高くなり、子牛の日増体量もLF給与区が対照区に比べて優れる傾向を示した。以上より、LFは新生子牛の白血球増加ならびに免疫機能亢進に影響を及ぼすとともに、成長促進効果も示唆された。このように、本課題の当初目標は達成できたと考えられる。
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