2006 Fiscal Year Annual Research Report
鳥類骨格筋グルコース輸送支配遺伝子群の特性解析-食肉生産の制御基盤-
Project/Area Number |
18380163
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
秋葉 征夫 東北大学, 大学院農学研究科, 教授 (30005631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 幹 東京農工大学, 大学院共生科学技術研究院若手人材育成拠点, 特任助教授 (20250730)
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Keywords | 鶏 / グルコース輸送 / 骨格筋細胞 / 筋分化制御因子 / インスリン / siRNA |
Research Abstract |
家禽類の特異的なグルコース代謝は、調節蛋白質であるGLUT(グルコースの細胞内への取り込み)や解糖系酵素(ヘキソキナーゼ(HK))の特異性に依存していると推測されている。そこで本研究では、鶏骨格筋細胞の増殖・分化をグルコース輸送系遺伝子群の制御により調節し、新たな食肉生産の基盤とすることを試みる。本年度は、グルコース輸送が活性化した状態の骨格筋細胞培養系を構築し、グルコース輸送調節蛋白質の遺伝子発現および筋分化関連遺伝子発現変動を観察するとともに、鶏骨格筋細胞のGLUT1およびHKIIをノックダウンさせた状態における筋分化関連因子の発現変動を調査することを試みた。 (1)インスリン誘導性糖取り込み活性化状態における筋分化および解糖系酵素遺伝子群の発現推移 2日齢のブロイラー骨格筋(浅胸筋)より単離した筋衛星細胞を、成熟した筋管が形成したステージまで培養して、試験を行った。まず、インスリンを0.2〜5μg/mlの濃度で培養培地に添加して、非代謝性グルコースである2-Deoxyglucoseの取り込みがインスリン添加濃度依存的に増加する培養実験系を構築した。次いで、インスリン添加条件下におけるグルコース輸送調節蛋白質遺伝子発現変動を観察したところ、GLUT1およびHKII遺伝子発現がインスリン添加濃度依存的に増加していた。さらに、筋分化関連因子であるIGF-Iおよびミオスタチン(MYSN)の遺伝子発現が、インスリン添加濃度依存的に増加する傾向が認められた。すなわち、GLUT1およびHKIIによる骨格筋細胞のグルコース輸送能の活性化が、鶏骨格筋分化と関連がある可能性が示唆された。 (2)siRNAによるGLUT1およびHKII遺伝子抑制条件下における筋分化関連因子の遺伝子発現 まず、鶏骨格筋細胞におけるsiRNA導入の最適条件を検討し、FITCラベルプローブを効率よく取り込む条件を確立した。次に、GLUT1およびHKIIのsiRNAを導入して、各遺伝子を約70%以上ノックダウンした細胞における骨格筋分化関連因子の遺伝子発現を検討した。その結果、IGF-I、Myogenein、MyoDのいずれの分化促進遺伝子発現も低下していた。よって、鶏骨格筋の分化を調節するには、糖代謝関連因子、特にGLUT1とHKIIの調節が、有効な手法の一つであることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)