2006 Fiscal Year Annual Research Report
抗肥満作用を有する共役脂肪酸を生合成する家畜の生産に関する研究
Project/Area Number |
18380169
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
佐伯 和弘 Kinki University, 生物理工学部, 教授 (10298937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細井 美彦 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (70192739)
松本 和也 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (20298938)
三谷 匡 近畿大学, 先端技術総合研究所, 助教授 (10322265)
田口 善智 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (70309269)
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Keywords | 共役脂肪酸 / ウシ / 筋衛星細胞 / クローン胚 / 脂肪細胞 / 植物のFAD3遺伝子 / n-3系脂肪酸 / DHA |
Research Abstract |
本年度予定していた共役脂肪酸の生成に関わる遺伝子の単離については本年度はできなかった。 ウシ筋組織より筋衛星細胞の取得を試みたところ、その単離および約20代の長期間の継代培養が可能であった。さらに、脂肪細胞への分化誘導を行った結果、脂質を蓄積する脂肪細胞へと分化した。また、筋衛星細胞によるクローン胚の作出についても試みた。筋衛星細胞をドナー細胞として用いたところ、コントロールとして用いた繊維芽細胞と同等の卵割率と胚盤胞への発生率が得られた。また、胚盤胞の細胞数も同等であった。このことから、筋衛星細胞は核移植のドナー細胞としても利用できることが示された。 得られた筋衛星細胞に遺伝子導入を試みた。共役脂肪酸に関わる遺伝子が獲得できなかったので、ほ乳動物細胞でコドンの使用頻度を最適化したω3脂肪酸不飽和化酵素遺伝子(FAD3-opt1)を含む発現ベクター(pCAG/FAD3-opt1/IRES/EGFP)を筋衛星細胞に導入した。その結果、安定的にFAD3-opt1が導入された細胞株が得られた。それら細胞株を脂肪細胞に分化誘導したところ、非遺伝子導入細胞と同様に脂質を蓄積した。これら脂肪細胞の脂肪酸組成比をガスクロマトグラフィーで調べた。その結果、FAD3-opt1導入細胞のn-3系脂肪酸比は非遺伝子導入細胞より約3.4%高かった。一方、n-6系脂肪酸比は遺伝子導入細胞は非遺伝子導入細胞より約4.7%低いことが示された。また、FAD3-opt1導入細胞では、22:6n-3(DHA)が約3%増加していたことが特徴的であった。このことから、コドン使用頻度を最適化したFAD3-opt1遺伝子を導入したウシ筋衛星細胞において蓄積脂肪のn-3系脂肪酸とくにDHAを増加させることが明らかとなった。
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