2008 Fiscal Year Annual Research Report
ウシにおけるウイルス抵抗性Mx遺伝子のスプライシング変異による特異的感染防御機構
Project/Area Number |
18380170
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡辺 智正 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 教授 (10100174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 秋彦 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (70333359)
鈴木 啓太 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学セシター, 准教授 (60261335)
米田 明弘 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (00451419)
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Keywords | ウシ / 抗病性育種 / 感染症 / 家畜遺伝 / ウイルス抵抗性 / 自然免疫 / MX1遺伝子 / 畜産 |
Research Abstract |
わが国においても、家畜に様々な感染症が発生し、社会を震撼させている。生体には病原体に対して防御機構が備わっており、この防御力には経験的に個体差のあることが知られている。抗病性に関わるMx遺伝子の解析中に、ウシMx1遺伝子は通常のMx1mRNAの他に、スプライシング変異によりエクソン1から3が転写されないで、代わりにエクソン3'(イントロン3内の配列)に置き換わったMX1BmRNAを産生するという、特異的な機構により防御している可能性が示唆された.分子的にMx1タンパグ質の最初の24アミノ酸が、MXIBでは異なる27アミノ酸に置き換わっていた。細胞質で増殖する水疱性口内炎ウイルスを用いた感染実験の結果、Mx1はその増殖を抑制したが、Mx1Bは抑制しなかった。原因として、Mx1Bには特異的配列27アミノ酸中に核移行シグナルが存在していることが示唆された。このことから、ウシMx1は細胞内局在を変えることで核および細胞質で増殖する各種ウイルスに対して巧みに防御する機構を有することが推測された。そこで、ウシ各種品種(ホルスタイン・黒毛和種を含めたヨーロッパ系7品種とインド牛起源といわれるブラーマン種)および近縁の水牛のMx1Bアミノ酸を調べたところ、全て同じ配列できわめて高い保存性を示した。このことから、ウシ科の反芻動物においてMx1Bは重要な機能を果たしていることが示唆された。しかし、同じ反鯛動物であるヒツジとヤギMx1B遺伝子について解析したところ、ともにMx1BmRNAの発現は確認できたが、アミノ酸に置き換わることないmRNAと推定された。したがって、Mx1Bは反芻動物全般に渡って機能的なタンパク質として合成されるとは考えられなかった。また、同じ偶蹄目のブタでは、Mx1BmRNAの発現は全く確認されなかった。
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