2006 Fiscal Year Annual Research Report
アディポ・免疫サイトカインを介する乳腺組織形成とその乳房炎、乳癌における役割
Project/Area Number |
18380172
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 和弘 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (30192561)
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Keywords | レプチン / HGF / 乳腺上皮 / 脂肪細胞 / 形態形成 / カスパーゼ1 Caspase1 / マクロファージ |
Research Abstract |
乳腺の間質組織から分泌されるアディポ・免疫サイトカインが乳腺上皮細胞の高次構造物形成、つまり乳腺の発達におよぼす影響をあきらかにすることを第一の目的とし、以下の検討を行った。ウシ乳腺皮下組織から乳腺上皮細胞と間質脂肪細胞を分離、培養したところ、各々の細胞は上皮細胞、間質細胞に特有のマーカーのみで染色され、高い純度を示した。次いで上皮細胞をコラーゲンゲル三次元培養に供し、その構造物形成の変化を画像解析により定量した。未分化の間質脂肪細胞培養上清は上皮細胞による構造物の形成を惹起しなかったが、分化後の培養上清は構造物の形成を誘起した。後者の作用は脂肪細胞から培養上清中に分泌された肝細胞増殖因子HGFによることが証明された。しかしながら、形成された構造物からは成熟した乳腺上皮細胞のマーカーであるカゼインは検出されず、乳腺上皮の成熟にはその他の因子が関与することが示唆された。 そこで代表的なアディポカインであるレプチンについて調べたところ、レプチンは単独では乳腺上皮による構造物の形成には影響せず、HGFと共存させた場合はHGFによる構造物の形成を阻害した。さらに、導管から腺房を形成させる因子を検索し、候補因子であるneuregulinが脂肪細胞に発現することを見いだした。レプチンの阻害機構とNeuregulinの機能については現在、検討を進めている。 一方、脂肪細胞におけるHGF、レプチンおよびneuregulinの分化に伴う発現パターンの変化が上述のように確認した。現在、性ホルモンや炎症性サイトカインの作用について検討中である。乳腺腫瘍に対する作用は検討が遅れており、平成19年度の課題としたい。
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Research Products
(6 results)