2008 Fiscal Year Annual Research Report
ペスチウイルス感染と宿主初期防衛機構の相互作用の解析
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18380174
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
明石 博臣 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (10334327)
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Keywords | BVDV / 粘膜病 / ペスチウイルス / アポトーシス / 先天性免疫 / C型肝炎ウイルス / MDBK細胞 / 2本鎖RNA |
Research Abstract |
昨年まで牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)のウイルス非構造蛋白(NS)と宿主因子の相互作用に焦点を当て解析してきた。昨年行ったMDBK細胞と初代牛腎臓培養細胞(BFM細胞)を用いたマイクロアレイ解析の結果、cp株感染MDBK細胞においてMAPキナーゼの一つであるERK1/2のリン酸化誘導が顕著に見られたことから、その機構を解析した。この結果、cp株感染細胞上消にERKリン酸化誘導能が認められた。ERKリン酸化は過酸化水素の添加や血清除去によっても誘導され、N-アセチルシステインやグルタチオン処理によって抑制されたことから、ウイルス感染上清中の活性酸素種がERKリン酸化を誘導していることが明らかとなった。ERKの異常な活性化は病体形成との関連が示唆される。また、NSと宿主因子の相互作用は病態解明に必須であるところから、cp株を特徴づけるNSであるNS3と結合する宿主因子を酵母2ハイブリッド(Y2H)法を用いて検索した。この結果、スフィンゴシンキナーゼ1(SphK1)を同定した。NS3はSphK1の酵素活性を著しく抑制し、ウイルス複製を増強することが明らかとなった。しかし、非開裂型NSのNS2-3も同様にSphK1に結合し、抑制することから、SphK1の酵素活性抑制はBVDVの噌殖戦略に必須である可能性が示された。さらに、昨年度作製したNS5Aに対するモノクローナル抗体を用いて、BVD VNS5Aの細胞内局在について検討したところ、NS5AはERのマーカーであるカルネキシンの局在と一致し、ウイルス感染期間を通してERに存在することが明らかとなった。さらに、NS5Aと結合する宿主因子をY2H法を用いて検索した結果、NIBP(NIK and IKK beta binding protein)を同定した。現在、NS5AとNIBP結合箇所など詳細について解析中である。
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Research Products
(6 results)