2006 Fiscal Year Annual Research Report
HIVがサルから種間障壁を乗り越えた機序のヒト/サル組換えウイルスを用いた解明
Project/Area Number |
18380182
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
速水 正憲 京都大学, ウイルス研究所 (40072946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井戸 栄治 京都大学, ウイルス研究所, 特別教育研究助教授 (70183176)
伊吹 謙太郎 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (00273524)
三浦 智行 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (40202337)
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Keywords | ウイルス / 感染症 / 獣医学 / 微生物 / 病理学 |
Research Abstract |
本研究では、霊長類レンチウイルスの種特異性の決定機序を解明するために、サル/ヒトの種特異性を決定するSIV/HIV-1遺伝子の同定を目的とし、SHIVのHIV-1遺伝子領域を順次拡大したSHIVを作製する。本年度は、ウイルスのプロテアーゼ(PR)遺伝子をHIV-1由来にした新規サル/ヒト免疫不全組換えウイルス(SHIV-pr)を作製した。SHIV-prはin vitroにおいてGagタンパク質を親株のSIVと同じように切断・プロセシングすることが示され、サル由来のリンパ球系細胞株で増殖することが明らかとなった。また、サル末梢血より得られた単核球細胞でもSIVに比べやや弱いものの増殖することが示された。そこで、SHIV-prをアカゲザル2頭に静脈内接種したところ、1頭では血中ウイルスRNAが持続的に検出され、抗体価も上昇したが、他の1頭では一過的な感染の証拠しか検出できなかった。ウイルス増殖能の増強を目指し、持続感染したサルの血漿やリンパ節細胞を新規のサルに植え継いで4代目まで個体による継代を行った。その結果、SHIV-prは継代を重ねるごとに血中ウイルスRNA量を上昇させ、4代目では高い値で血中ウイルスRNA量を維持するようになった。継代の2代目から4代目の各1頭計3頭のサルの感染後1〜3週目の血漿から得られたウイルスRNAのPR領域(99アミノ酸残基)について配列を決定したところ、A71VとV771の2ヶ所のアミノ酸変異が見つかった。これらは2代目から4代目で共通に見られた変異であり、2代目への継代以前に生じ、in vivo継代によって固定されたものと考えられた.また、Gag領域中のPRによって認識される切断部位近傍でも2代目から4代目に共通する変異が見つかり、これらの変異がSHIV-prのサル個体レベルでの増殖能向上に関わっている可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)