2009 Fiscal Year Annual Research Report
牛ウイルス性下痢ウイルス感染の清浄化対策:コホート研究によるリスク分析
Project/Area Number |
18380184
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田島 誉士 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (90202168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門平 睦代 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (20313976)
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Keywords | BVDV / 持続感染牛 / 感染経路 / 危険因子 / バルク乳検査 / ハザードマップ |
Research Abstract |
牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)感染症のより効果的な予防法を確立することは、生産獣医療における重要課題の一つである。BVDVの牛群への侵入門戸は多いと考えられ、その経路も含めて不明な点が多い。本研究においては、牛群のBVDV汚染状況を監視することによって流行状況を把握し、有効なバイオセキュリティー対策確立のためのコホート研究によるリスク分析を基に、ウイルスの牛群への侵入経路を解明してBVDV予防法を確立することを目的とする。対象地域内の牛群を継続的に監視し、持続感染牛持続感染牛(PI)牛が牛群へ侵入した時点からのその地域における環境要因、個体移動状況、ワクチン使用歴などの疫学情報を収集し危険因子を分析した。 まず前年度から引き続き、北海道内の酪農家を対象としたBVDV浸潤状況についてバルク乳を用いて調査した。本方法におけるBVDV非清浄化地帯の監視検査間隔は1年未満が適切であり、それ以上間隔が空くと、対策前の状態に戻ってしまう可能性が示唆された。摘発PI牛からの分離BVDVは、同一地域内ではそれぞれ遺伝学的にきわめて近縁であり、ウイルス伝播が容易に生じていたことが明らかとなったが、その伝播ルートおよび様式を特定することはできなかった。 前年度に抽出された危険因子について、PI牛摘発農家における関連性を検討したところ、それらは密接に相関していることが明らかとなった。また、ワクチン接種の励行によって、PI牛の発生を抑えることは不可能であり、むしろワクチン接種したという安心感によって監視体制がおろそかになる傾向が見いだされた。
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