2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞周期調節タンパクを分子標的とする造血系悪性腫瘍増殖制御法の開発
Project/Area Number |
18380187
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田中 あかね Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (80418673)
|
Keywords | 癌 / シグナル伝達 / 獣医学 / 動物 / 臨床 |
Research Abstract |
1) ヒト、齧歯類、及びイヌの造血系腫瘍(白血病あるいは肥満細胞腫細胞)株における細胞周期調節タンパクの発現及び相互作用の解析を免疫沈降法を用いて進めた。特に、G1/Sチェックポイント調節分子であるD型サイクリンやそれによって機能調節を受けるサイクリン依存性キナーゼ(CDK)に関し、各細胞種による発現動態や結合・相互作用の違いをウエスタンブロット法や共役免疫沈降法によって検出し、肥満細胞腫細胞においてサイクリンD3とCDK2あるいは4の結合が主要な細胞周期進行因子であることを見いだした。しかし、イヌのリンパ腫細胞では、ヒト白血病細胞と同様にサイクリンD2も強く発現しており、転写因子NF-kappaBの活性化によって発現が誘導されていることを明らかにした。イヌ肥満細胞腫でも、細胞株によってはサイクリンD2およびD3の発現が強く誘導されており、これらD型サイクリンとCDK2、4、あるいは6が結合して細胞周期の進行を制御していることが明らかとなった。これらの成果は、学会発表するとともに、論文化して現在投稿中である。 2) 異常な細胞の増殖を抑制するCip/Kipファミリーサイクリン依存性キナーゼ阻害因子について解析を進め、p21Cip1およびp27Kip1の発現低下を見いだした。p27Kip1は転写因子NF-kappaBの活性を抑制することで発現が回復したが、p21Cip1ではそのような現象が認められなかったことから、p27Kip1はNF-kappaBの下流で発現調整を受けているものと考えられた。 3) 肥満細胞腫および白血病細胞におけるミトコンドリア関連アポトーシス調節因子Bcl-2ファミリータンパクの発現および相互作用について網羅的に解析を進めた。アポトーシス抑制性タンパクとしてMcl-1の高発現を見出し、この発現がNF-kappaBの活性抑制により低下すること、並びにMcl-1抑制因子であるBimの発現が亢進しミトコンドリアにおけるアポトーシス耐性が解除されることをあきらかにした。これらの成果は学科発表するとともに、論文化し現在投稿中である。
|