2006 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージ-筋線維芽細胞を基軸とした腎線維化の病理発生の解明と治療法の確立
Project/Area Number |
18380188
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山手 丈至 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教授 (50150115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑村 充 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 講師 (20244668)
竹中 重雄 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教授 (10280067)
岩崎 忠 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助手 (70336808)
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Keywords | 腎線維化 / マクロファージ / 筋線維芽細胞 / 細胞骨格 / 細胞モデル |
Research Abstract |
本研究の目的は、腎線維化部位に出現するマクロファージと筋線維芽細胞の特性を病理学的に解析し、それらの機能に基づいた腎線維化の有効な治療法を探索することである。 本年度は以下の成果を得た。 尿管結紮及びシスプラチン誘発のラット慢性腎線維化モデルを用いて、筋線維芽細胞の細胞骨格の変化について解析した。その結果、筋線維芽細胞はα-平滑筋アクチン、ビメンチン、デスミンを種々の割合で発現することが示された。また、再生尿細管上皮においてもα-平滑筋アクチンとビメンチンが発現することが分かった。これらのことから、細胞外基質を産生する筋線維芽細胞は、間質の線維芽細胞のみならず傷害後再生する尿細管上皮にも由来する可能性が示唆された。また、豚の尿細管上皮由来細胞株に線維原性因子であるTGF-β1を添加したところ筋線維芽細胞特有の細胞骨格が発現し、さらにTGF-β1とPDGF-BBを同時添加するとその発現が相乗的に増強することが示された。これらの因子は傷害部位に滲出するマクロファージから産生されるサイトカインで、腎線維化におけるクロファージと筋線維芽細胞の緊密な関連が明らかになった。 また、ラット腎線維化モデルに抗炎症剤であるデキサメサゾンを投与する実験を行った。その結果、ED1陽性の浸潤マクロファージの出現が抑制され線維化が軽減された。しかし、ED2陽性固着マクロファージとOX6陽性抗原提示マクロファージの出現には影響が見られなかった。 さらに、腎線維化に有用な細胞モデルを開発する目的で、ラットの悪性線維性組織球腫からマクロファージの特性を示す細胞株(KJ-A)の樹立に成功した。今後、この細胞株の特性と本研究における有用性についてさらに解析を進める。
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Research Products
(1 results)