2009 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージ-筋線維芽細胞を基軸とした腎線維化の病理発生の解明と治療法の確立
Project/Area Number |
18380188
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山手 丈至 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 教授 (50150115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑村 充 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (20244668)
竹中 重雄 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (10280067)
岩崎 忠 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (70336808)
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Keywords | 腎線維化 / マクロファージ / 筋線維芽細胞 / 骨髄幹細胞 / 血管新生 / Thy-1 / 肝線維化 / 創傷治癒線維化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、腎線維化に出現するマクロファージと筋線維芽細胞の特性を病理学的に解析し、それらの特性に基づいた腎線維化の有効な治療法を探索することである。さらに、同じ発生機序で形成される肝線維化や創傷治癒の病態についても比較解析を行うことで、腎線維化の病態をより明らかにすることである。以下の研究成果を得た。 (1) シスプラチン誘発ラット腎線維化モデルを用いて新生血管の特性を解明した。マクロファージの出現に伴い線維化が進行し、その部位にCD34陽性の新生血管が出現し、かっ血管新生には血管増殖因子が関わることが示された。さらに、骨髄幹細胞などの未分化間葉系細胞を認識するA3抗体陽性の血管内皮が、線維化部位に顕著に出現することが示された。線維化部位の血管は、骨髄幹細胞から常に動員されている可能性が示唆された。 (2) 腎線維化における筋線維芽細胞の特性解析として、特にThy-1発現細胞との関わりについて詳細に検討した。シスプラチン誘発ラット腎線維化モデルと尿管結紮腎障害モデルを用いた。その結果、皮質から髄質外帯に線維化が生じ、その線維化部位にThy-1発現細胞が著しく出現した。この細胞はvimentinを発現したが、α-SMA(筋線維芽細胞のマーカー)は発現しなかった。さらに、結紮腎では髄質内帯にも線維化が生じたが、この部位ではThy-1発現細胞とvimentinさらにはα-SMA発現細胞が一致した。皮質と髄質の間質細胞はThy-1の発現が異なることが分かった。以上よりThy-1発現細胞の出現は腎の部位により異なり、かつ筋線維芽細胞との関連も部位により異なることが示された。 (3) さらに、チオアセトアミド誘発肝線維化と創傷治癒過程での線維化部位には、多種多様なマクロファージが出現し、筋線維芽細胞の誘導に関わることを明らかにした。
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[Journal Article]2009
Author(s)
山手丈至(分担執筆)
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Journal Title
産学官連携の研究開発:第9章;獣医学が目指す癌撲滅に向けた基礎研究-ラット腫瘍モデルの確立と応用-(中央経済社)
Pages: 113-135
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