2006 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類の発生・分化過程における染色体構築原理の解明
Project/Area Number |
18380198
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
奥村 克純 三重大学, 大学院生物資源学研究科, 教授 (30177183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 憲子 財団法人東京都医学研究機構, 研究員 (70280956)
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Keywords | 発生・分化 / エピジェネティクス / クロマチン / 細胞核 / 可視化 / 複製フォーク / 転写 / 染色体 |
Research Abstract |
正常な発生・分化の過程で、体細胞型のゲノムの構築が、いつどのように行われ継承されるかを、エピゲノム状態、複製、染色体機能、染色体核内配置との間との調節という基本原理に関して明らかにするため、培養細胞系で以下のような基礎データを得た。 1.セントロメアヘテロクロマチン領域のエピジェネティクスとドメイン構造の確立:DNAメチル化阻害剤5-aza-2'-deoxycytidine処理後にセントロメア領域の転写活性が上昇し、次いで複製タイミングがS期中・後期から初期に早まることを見出し、セントロメア周辺領域でヘテロクロマチン様修飾ピストンが減少し、逆にユークロマチン様修飾ピストンの蓄積が見られることを示した。これが、転写活性化とその維持に働き、爆発的な転写活性化を導くことを見出し、以上から、DNAの脱メチル化は転写活性化を導いた上で、複製タイミング制御の混乱を導き、DNA複製依存的にピストン修飾パターンに影響を与えることを明らかにした。 2.クロマチンドメインの構築と複製・転写・核内配置の相互関係:ヒトサテライトIII領域の転写の誘導は、この領域の複製フォークの進行を抑制または停止することを示した。また、DT40細胞を用いて、Crystallin遺伝子は転写サイレントであるにもかかわらず、転写ファクトリーへ入り、核マトリックスとの親和性が高まる可能性を示した。 3.染色体安定性保証機能:Poly(ADP-ribese)polymeraseは通常時から複製フォークの進行を負に制御し、DNA損傷に衝突した時に効率よく減速し、その後の修復経路にスムーズに移行できるように、いわゆる複製フォークのブレーキ役として機能していることを示した。 4.ES細胞を用いて、核内受容体GCNFがDNAメチルトランスフェラーゼ3bをリクルートしてOct3/4を不活化することを明らかにした。
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