2007 Fiscal Year Annual Research Report
フィトクロム相互作用タンパク質の解析に基づく植物の光情報伝達機構の解明
Project/Area Number |
18380200
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河内 孝之 Kyoto University, 大学院・生命科学研究科, 教授 (40202056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和 勝幸 京都大学, 大学院・生命科学研究科, 助教 (50293915)
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Keywords | フィトクロム / 光受容体 / 光形態形成 / 信号伝達 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
光は植物の発生や成長に影響を与える主要な環境要因である。フィトクロムは植物の赤色光応答、遠赤色光応答や超低光量応答の主要な光受容体である。我々はフィトクロムの細胞内信号伝達を明らかにするために、フィトクロム相互作用因子をスクリーニングした。これまでに知られているフィトクロム相互作用因子は、芽生えの植物体を利用して同定されていた。フィトクロムは花成などの成長後期の生理応答にも重要な機能を持っている。そこで、成長相転換時のシロイヌナズナから調製したcDNAライブラリーを用いて、酵母ツーハイブリッドスクリーニングを行い、新奇ジンクフィンガータンパク質VOZを単離した。VOZは2分子種存在し、コードする遺伝子もシロイヌナズナゲノムには2コピー存在する。T-DNAタグラインより遺伝子破壊株を同定した。単一遺伝子破壊では野生型と成長の差が見られなかったが、二重変異体では顕著な遅咲き表現型が観察された。フィトクロム遺伝子(phyAまたはphyB)との3重変異体を作成し、表現型を観察したところ、phyBの早咲き表現型ではなく、voz二重変異体の遅咲き形質が現れた。すなわち、VOZはphyBより下流に位置することがわかった。また、花成の遅れの原因として、FT遺伝子の光周期依存的な発現誘導が抑制されていることがわかった。VOZが、phyBと花成の間をつなぐ因子であることから、フィトクロムを介した信号伝達に重要な分子を同定したと言える。VOZの発現特異性や発現制御に関する知見を蓄積することにより、植物光信号伝達の一端が解明されると期待された。
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