2008 Fiscal Year Annual Research Report
フィトクロム相互作用タンパク質の解析に基づく植物の光情報伝達機構の解明
Project/Area Number |
18380200
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河内 孝之 Kyoto University, 生命科学研究科, 教授 (40202056)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和 勝幸 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (50293915)
|
Keywords | フィトクロム / 光受容 / 光形態形成 / 遺伝子発現制御 / 環境応答 |
Research Abstract |
フィトクロムは植物の主要な光受容体であり、多様な光生理応答に関与する。花成制御においても重要な役割を持つことが知られている。フィトクロムは光を吸収することで核から細胞質へと移行してシグナルを下流に伝達する。これまでにフィトクロム下流の信号伝達因子として、相互作用タンパク質(PIFs)が同定されている。しかし、生長した植物におけるフィトクロムシグナルは未だ明らかにされていない。抽苔時のシロイヌナズナcDNAライブラリーを用いた酵母ツーハイブリット法によるスクリーニングにより、フィトクロム相互作用因子として、転写因子VOZ (Vascular plant One-Zinc finger)を単離同定した。VOZは、シロイヌナズナにおいてAtVOZ1、AtVOZ2の二分子種が存在し、voz1 voz2二重変異体は長日条件下において遅咲きの表現型を示す。また、phyBとの三重変異体の解析からVOZがphyBの下流で花成を制御すること、WTとvoz1 voz2二重変異体における花成促進因子の発現解析からVOZがFTの発現を促進していることが示され、VOZがフィトクロムとFTの間をつなぐ因子であることが考えられた。FT上流の遺伝子発現を解析したところ、voz1 voz2二重変異体ではFLCの発現が上昇していることがわかった。次に、VOZの細胞内局在を蛍光タンパク質との融合実験により可視化するとともに、強制的に核内および細胞質への細胞内局在シグナルを与えた導入遺伝子による変異体相補により解析した。核局在シグナルをもつ遺伝子導入系統の花成が野生型と一致することより、VOZが核において機能するが示された。VOZを介する光受容体下流の信号伝達機構の実体の一端が明らかになった。
|