2009 Fiscal Year Annual Research Report
フィトクロム相互作用タンパク質の解析に基づく植物の光情報伝達機構の解明
Project/Area Number |
18380200
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河内 孝之 Kyoto University, 生命科学研究科, 教授 (40202056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和 勝幸 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (50293915)
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Keywords | フィトクロム / シロイヌナズナ / タンパク質相互作用 / 光信号伝達 / 光受容体 / 光背センシング |
Research Abstract |
フィトクロムは光シグナルを下流因子へ伝達し、花成を制御する。この光応答シグナル経路を明らかにするため、シロイヌナズナにおける新たなフィトクロム相互作用因子として、ジンクフィンガータンパク質であるVOZ1、VOZ2を単離した。これらの二重変異体ではフロリゲンと考えられているFTの発現が抑制され、花成遅延を示した。このことからVOZは重複した機能を持ち、フィトクロムの下流でFTの発現を制御する花成促進因子であることが明らかになった。FTの転写は、日長依存的な花成促進因子COと低温経路の花成抑制因子FLCにより制御を受けている。VOZが光質を認識することが予想されていること、最近、低R/FR比の条件で低温応答が上昇されることが報告されていることを参考に、FLCの発現を解析したところvoz1 voz2二重変異体ではFLCの発現が上昇していた。また、voz1 voz2二重変異体は低温に依存せずに低温馴化経路が誘導され、低温耐性が増強されていた。その一方で、葉肉細胞における光受容と維管束における刀の作用には空間的隔たりがあるという解決すべき問題がある。そこで、フィトクロムが機能する葉肉細胞、FTが発現する維管束組織どちらでVOZが機能するかを、異所発現株を作出し評価することによって解析した。また、維管束と葉肉細胞におけるVOZの遺伝子発現について、分離した細胞から抽出したmRNAに対するRT-PCR法によって調べた。その結果、VOZ1は維管束で、VOZ2は葉肉細胞と維管束で発現していた。VOZ1およびVOZ2のプロモーターの制御下でGUSとVOZとの融合タンパク質をvoz1 voz2二重変異体背景で発現させたところ、双方とも花成遅延表現型を相補した。これらの結果は、VOZの光依存的な花成制御機構には、維管束における機能がより重要であることを示唆している。
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