2007 Fiscal Year Annual Research Report
完全水中での分子認識システムの構築と生体内ポリアミン類の迅速定量
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18390003
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
椿 一典 Kyoto Prefectural University, 生命環境科学研究科, 教授 (50303897)
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Keywords | 水中分子認識 / フェノールフタレイン / 生体内ポリアミン / スペルミジン / スペルミン / 迅速定量 / 分子間相互作用 / 呈色応答 |
Research Abstract |
前年度の研究において、研究の二大目的のうち、「完全水中における、スペルミジン、スペルミンの呈色型分子認識システムの構築」に成功した。今年度は次の大きな課題である、「生体内ポリアミン類の迅速定量」に取り組み、主として感度の向上について検討を行った。pH指示薬であるフェノールフタレインにクラウンエーテルを二箇所に導入した呈色型機能分子とスペルミジン、スペルミンとの錯体は、二種類存在する事を明らかとし、そのうちの一方は呈色を示すが、他方は無色であることを突き止めた。感度向上にはこの二種類の錯体間の平衡を呈色型にシフトさせる事が重要であると考えた。そこで、感度の向上のため母核ベンゾフラノン環に主として電子吸引性基を導入することを研究の指針とし、誘導体を合成した。その結果、中間体として合成した(電子供与基である)ジメチルアミノ基を導入した化合物が予想に反し極めて高い感度を持ち、更に蛍光応答性も併せ持つ事を見出した。その原因を追究したところ、ジメチルアミノ基導入により新たな、ロダミン型の共鳴系が成立するために感度が向上した事がわかった。さらに蛍光応答性の付与は、ベンソラクトン環に導入したジメチルアミノ基とカルボニル基の間でねじれ型分子内電荷移動(TICT)がおこり、電荷分離種からの蛍光であることが示唆された。
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