2007 Fiscal Year Annual Research Report
三価の超原子価有機臭素化合物を活用する反応の開発とその化学的特性の解明
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18390005
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
落合 正仁 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50127065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 和範 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (40403696)
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Keywords | 超原子価 / 臭素 / ヨウ素 / 脱離基 / 加溶媒分解反応 / 求核置換反応 / チカオン / カルベン |
Research Abstract |
有機合成化学における新領域、三価の超原子価有機臭素化合物の化学の分野を開拓することが目的である。 I.三価の臭素置換基の超脱離能の測定:シクロヘキセニルスズにBF_3-Et_20存在下ジフルオロアリールブロマン(ArBrF_2)を作用させて、臭素(III)-スズ交換反応を行い、環状超原子価シクロヘキセニル臭素化合物を合成することに成功したが、この化合物は不安定であり-30度でも分解してしまうため、超脱離能の測定には向いていない。そこで、環状超原子価シクロペンテニル臭素化合物の加溶媒分解反応を実施した。生成物の詳細な解析により、本反応がシクロペンテニルカチオンを発生するS_N1反応であることを証明した。ヨードベンゼンの存在下に加溶媒分解反応を実施すると、環状超原子価シクロペンテニルヨウ素化合物が生成することも見出している。また、本加溶媒分解反応の反応速度を測定することにも成功している。現在、本加溶媒分解反応の溶媒効果について検討中である。環状超原子価シクロペンテニルヨウ素化合物は極めて安定であり、シクロペンテニルカチオンを発生する加溶媒分解反応は全く進行しない。この結果は、三価の超原子価臭素置換基が超脱離能を示す三価の超原子価ヨウ素置換基よりも遙かに大きな脱離能を持つことを強く示唆している。 II.超原子価アルケニル臭素化合物のビニル位S_N2型求核置換反応の開発:超原子価ビニル臭素化合物の立体選択的合成に成功し、そのビニル位炭素原子上でのS_N2型求核置換反応が進行することを見出しつつある。なお、求核試剤としてはハロゲン陰イオンを使用している。 III.超原子価アルケニル臭素化合物を用いたアルキリデンカルベン発生反応の開発:本課題については現在その原料を合成中である。
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Research Products
(19 results)