2008 Fiscal Year Annual Research Report
高立体選択的な反応の開発に基づく生物活性天然物の全合成研究
Project/Area Number |
18390010
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
小林 進 Tokyo University of Science, 薬学部, 教授 (70101102)
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Keywords | 全合成 / 閉環メタセシス / TMC-151C / ディバーシフォリン / ナフレジンγ |
Research Abstract |
本年度は本研究の最終年度にあたり、多くの成果を挙げることができた。昨年度、TMC-151Cの合成研究で見出した8員環閉環メタセシスでE型オレフィンを与えるという前例のない極めて興味深い手法をTMC-151Cの直截的な全合成に適用すべく、両フラグメントの合成を行った。一般にマンノースのβ-グリコシル化は困難とされているが、Crichの方法を利用することで高収率、高選択的に行うことができた。また、シリコンテザー化もジエチルアミノジフェニルクロロシランを用いることで、立体的に嵩高い系でもよい収率で進行した。8員環閉環メタセシスもモデル系と同様にE-選択的に進行し、最後にすべてのシリル保護基を一挙に外すことでTMC-151Cの全合成を達成することができた。一方、NF-κBの活性阻害物質ディバーシフォリンの合成研究については、これまであまり例が少ない閉環メタセシスによって炭素10員環形成を行うことができた。当初はメチル基のないモデル系での検討を行ったが、後の段階でメチル基を導入することができ、ディバーシフォリンの最初の全合成に成功した。本合成はTHL誌のカバー図に採用されることとなった。本合成ではメチル基を導入するために数工程を要するのが課題の一つとなっている。さらに検討した結果、ある特定の立体化学を有する基質のみ閉環メタセシスが進行することを見出し、第二世代のディバーシフォリンの全合成にも成功した。ナフレジンγの合成に関しても、成果を挙げることができた。すなわち、我々の開発した不斉三級水酸基を含む1,3-ジオールの立体制御法を利用することによって、これまでは10数工程を要した重要合成中間体を数工程で合成することができた。今後、側鎖部分との連結についても検討する計画である。
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