2008 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロダイセクションを用いた糖鎖の領域特異的解析法の開発
Project/Area Number |
18390011
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
豊田 英尚 Ritsumeikan University, 薬学部, 教授 (70217579)
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Keywords | マイクロダイセクション / 脳 / コンドロイチン硫酸 |
Research Abstract |
他の臓器と比較して脳にはコンドロイチン硫酸が豊富に存在し,神経細胞の伸張など様々な役割を担っていることが示されている.プルキンエ細胞の周囲にはD単位[GlcA/IdoA(2S)-GalNAc(6S)]に富むコンドロイチン硫酸が豊富に存在することから,コンドロイチン硫酸の構造依存的な情報伝達が注目されている.また海馬神経細胞は,D単位を多く含む基質上で培養すると樹状突起様の突起を進展させ,E単位[GlcA/IdoA-GalNAc(4S,6S)]を多く含む場合は長い軸索様の突起を伸張させる.コンドロイチン硫酸中の高硫酸化されたD単位やE単位などの部分構造は,多くのヘパリン結合性成長因子と結合することが知られており,海馬のみならず神経細胞全般の分化・形態形成に大きく関与していると考えられている.本年度分析対象としたコンドロイチン硫酸の高感度な分析法として,2-シアノアセトアミドを蛍光ポストカラム試薬とする高速液体クロマトグラフィー(HPLC)があげられるが,現状の方法では分析感度が不十分であった.そこで蛍光ポストカラムHPLCのセミミクロ化を試みたところ,検出限界を従来法の十分の一以下にすることに成功した.この新しい装置を用いて脳組織切片の微細領域に存在するコンドロイチン硫酸の分析を行ったところ,過硫酸化部分の解析が世界で初めて可能となった.今後の研究では,発生段階ごとのマウス脳組織切片を用いて領域特異的な過硫酸化コンドロイチン硫酸のプロファイルを取り,脳内コンドロイチン硫酸マップの作製を試みたい.
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Heparan sulfate regulates self-renewal and pluripotency of embryonic stem cells2008
Author(s)
N. Sasaki, K. Okishio, K. Ui-Tei, K. Saigo, A. Kinoshita-Toyoda. H. Toyoda, T. Nisbimura. Y. Suda, M. Hayasaka, K. Hanaoka, S. Hitoshi, K. Ikenaka, S. Nishiara
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Journal Title
J. Biol. Chem. 285
Pages: 3594-3606
Peer Reviewed
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[Presentation] 糖ヌクレオチド輸送体ノックアウトマウスを利用した発生・分化における糖鎖機能の解析.2008
Author(s)
平岡秀一, 古市達也, 柴田俊一, 柳下正樹, 豊田英尚, 石田信宏, 佐内 豊, 西村 玄, 池川志郎, 古関明彦, 浅原弘嗣
Organizer
第31回日本分子生物学会年会, 第81回日本生化学会合同大会
Place of Presentation
京都
Year and Date
20081200
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[Presentation] ヘパラン硫酸はマウス胚性幹細胞の未分化と多能性を制御する2008
Author(s)
佐々木紀彦, 沖汐和彦, 程 久美子, 豊田亜希子, 豊田英尚, 西村知晃, 隅田泰生, 早坂美智子, 花岡和則, 等 誠司, 池中一裕, 西原祥子
Organizer
第28回日本糖質学会
Place of Presentation
つくば(茨城県)
Year and Date
20080800
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