2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内レドックス制御を受けるMRP2の肝細胞内動態のイメージングと分子論的解析
Project/Area Number |
18390012
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
堀江 利治 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (90120154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
設楽 悦久 千葉大学, 大学院薬学研究院, 講師 (00306656)
関根 秀一 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助手 (70401007)
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Keywords | 生物物理 / シグナル伝達 / 薬剤反応性 / 蛋白質 |
Research Abstract |
これまでに細胞内GSHを強制的に枯渇させた急性酸化ストレスモデルラットを用い、Multi drugt resistance associated protein 2(MRP2)が数分で内在化することを見出した。更にこの内在化過程にはGSH低下を引き金としたプロテインキナーゼCの活性化という制御機構が存在することを報告している。これらの研究成果に基づき、「酸化ストレス時に細胞内GSHが低下するとMRP2が内在化して酸化ストレスに対するフィードバック防御機構が働き、細胞内GSHの回復に伴いMRP2の膜への局在化を再生する」という仮説を検証した。そこで、酸化ストレスによる細胞内GSHの低下とそれに伴うMRP2の局在を定量的に評価する系の構築を行った。ラットより調製した遊離肝細胞におけるMRP2及び、細胞の核を免疫染色法により染色を行い、共焦点レーザー顕微鏡により可視化し、細胞の核の数に対する細胞間隙に存在するMRP2を含む胆管の割合をMRP2-indexとしてMRP2の局在を定量的に評価する系を構築した。この系を用いて細胞内GSHの低下に伴うMRP2の内在化を評価したところMRP2-indexは12%から3%に低下が見られ、MRP2の局在を評価する系を構築することができた。また細胞内GSHの回復時においてはMRP2-indexのコントロールレベル(12%)までの回復が見られ、細胞内GSHの回復に伴いMRP2の局在が可逆的に制御されていることを明らかとした。このことはMRP2の再局在化過程においても内在化過程同様に制御された機構が存在する可能性が強く示唆される。次年度において、この詳細な機構を解明することで、臨床における薬剤性肝障害や老化などで併発する胆汁うっ滞に対して、MRP2の局在を回復させるという新たな治療戦略の確立につながることが期待され、今後に発展性のある研究成果が得られた。
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