2007 Fiscal Year Annual Research Report
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18390020
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
藤田 直也 Japanese Foundation For Cancer Research, 癌化学療法センター・基礎研究部, 部長 (20280951)
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Keywords | Aggrus / Podonlanin / 血小板凝集 / がん転移 / 肺転移 / がん細胞 / 糖鎖 / CD9 |
Research Abstract |
血小板凝集はがんの転移形成を促進する。研究代表者は、がん細胞膜上に発見している新規血小板凝集促進因子(Aggrus)の遺伝子クローニングに世界で初めて成功していた。 1、ヒトAggrus結合分子の探索 そこで本研究課題では、Aggrus結合分子の探索を行ない、膜4回貫通型タンパク質であるTetraspaninファミリー遺伝子の1つであるCD9を同定した。CD9はがん転移抑制分子として知られていたがその機能の詳細は不明であった。In vivoイメージング技術を用いることにより、CD9を過剰発現させたがん細胞では、肺へのトラップの過程で障害が生じ、肺転移が抑制されていることが確認された。そこで、Aggrus依存性血小板凝集誘導活性に対するCD9の効果を検討した結果、CD9はAggrus誘導性血小板凝集を抑制することが確認された。CD9はTetraspanin Web形成のオーガナイザーとして機能するが、AggrusもCD9と結合することによりTetraspanin Webに取込まれていることを生化学的な解析により確認した。さらに、AggrusとCD9の結合にはCD9上の膜貫通ドメイン1と2が関与しており、この部位を欠失したCD9には血小板凝集抑制活性が認められず、転移抑制効果も認められなかった。以上よりCD9は、Aggrusの血小板凝集誘導活性を中和することによりその転移抑制機能を発揮していることが明らかとなった。 2、Aggrusの発現制御機構の解析 Aggrus発現に関わる転写因子として、ホメオボックス転写因子Prox1の関与が示唆されていたため、がん細胞におけるProx1の強発現に伴うAggrus発現を検討したがほとんど変化が認められず、Aggrus発現制御には、メチル化などのエピジェネティックな遺伝子の発現制御機構が関与している可能性が示唆された。
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