2006 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質・放射線障害に対する応答としての細胞外マトリクス調節機構の解明とその制御
Project/Area Number |
18390041
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東 伸昭 東京大学, 大学院薬学系研究科, 助教授 (40302616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入村 達郎 東京大学, 大学院薬学系研究科, 教授 (80092146)
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Keywords | 細胞外マトリクス / 炎症 / 放射線障害 / ヘパラナーゼ / マスト細胞 / ヘパリン / 顆粒球 / グリコサミノグリカン |
Research Abstract |
免疫細胞は様々な病態で炎症の惹起や組織の修復に関与する。ヘパラン硫酸、ヘパリンなどグリコサミノグリカンの分解は、血管外浸潤の調節、生理活性物質の切り出しや貯蔵を通じて生物現象を制御することが予想される。本研究ではヘパラナーゼに着目し、細胞内分布と活性調節、病態への関与を検討した。 マスト細胞は急性炎症や組織修復の引き金を引く細胞である。生体内に分布する種々のマスト細胞における発現を検討したところ、結合組織型マスト細胞には共通して強い発現が認められたが、粘膜型マスト細胞には発現が検出されなかった。これはin vitroのマスト細胞の分化誘導培養系でも確認された。結合組織型マスト細胞はヘパリンを合成、蓄積するが、ヘパラナーゼの発現がこのヘパリンの発現に相関すると考えられた。さらに、マスト細胞株が外因性の前駆体ヘパラナーゼを取り込み顆粒内に蓄積すること、この顆粒内のヘパラナーゼが活性型に変換されること、この結果生じる顆粒内ヘパリンの低分子化が顆粒内プロテアーゼの活性増強と相関することを見出した。ヘパラナーゼが顆粒内プロテアーゼの調節因子であるヘパリンを低分子化することにより、その活性調節に関与すること、つまりマスト細胞が顆粒内に有する個々のエフェクター分子の活性を転写非依存的かつ包括的に支配する可能性のある分子であることを示した。 免疫細胞の生成の場である骨髄について、骨髄細胞におけるヘパラナーゼの発現を検討した。顆粒球と前駆細胞のそれぞれにつき、分化段階によらず約半数でヘパラナーゼの発現が検出された。ヘパラナーゼなどマトリクス分解を司る酵素を発現する亜集団、しない亜集団の存在が予想された。他にもヘパラナーゼ強陽性の単核球細胞が認められた。細胞集団の同定と炎症、修復における意義を検討する予定である。
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Research Products
(2 results)