2007 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質・放射線障害に対する応答としての細胞外マトリクス調節機構の解明とその制御
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18390041
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東 伸昭 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (40302616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入村 達郎 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (80092146)
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Keywords | 細胞外マトリックス / 炎症 / 放射線障害 / ヘパラナーゼ / マスト細胞 / ヘパリン / 顆粒球 / グリコサミノグリカン |
Research Abstract |
免疫細胞によるヘパラン硫酸、ヘパリンなどグリコサミノグリカンの分解は、基底膜分解を介した血管外浸潤の調節、生理活性物質の切り出しや貯蔵の調節を通じて炎症や組織修復等の病態制御に関与すると予想される。本研究では分解酵素であるヘパラナーゼに着目し、主に細胞自身の機能への影響を検討した。 マスト細胞のうち特に結合組織型マスト細胞がヘパラナーゼを強く発現すること、MSTマスト細胞株を用いた解析でこの酵素がヘパリンの低分子化とそれに引き続く顆粒内トリプターゼの活性上昇に関与することを示しており、本年度はその詳細を検討した。顆粒内トリプターゼ含有量がヘパリン低分子化の前後で変化しないことを確認した。また、ヘパリン低分子化状態で細胞外マトリックス蛋白質フィブロネクチンに対する切断活性は上昇していた。ヘパラナーゼ遺伝子を導入したトランスフェクタント細胞を別途確立して同様の検討を行った。ヘパリン低分子化に伴う顆粒内プロテアーゼの活性調節は、プロテアーゼ分子の発現上昇ではなく会合状態の調節など二次的な変化によることが示唆された。 好中球顆粒のひとつ三次顆粒はTNFα等のプライミング刺激により脱顆粒し、好中球自身の機能調節と顆粒内酵素の放出を介したメディエーター産生に関与する可能性がある。本年度はヘパラナーゼのサンドイッチELISA法を確立し、好中球の脱顆粒に伴うヘパラナーゼ放出量を定量的に検出する系の構築に成功した。また脱顆粒に伴い、好中球の浸潤能が有意に抑制されるという知見を得た。生体の循環血中や局所で同様のプライミングを生じる際、また放射線や薬物障害で好中球が大量に供給される際の末梢血中へのヘパラナーゼ放出と、体内で好中球やそれ以外の細胞に生じる機能変化について検討する。
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Research Products
(16 results)