Research Abstract |
本研究では,in vivoでのトランスポーター機能を評価するためのin vivoプローブを開発することを目的として,ノックアウト動物を用いin vivo試験を行い,組織中濃度,血漿中濃度が野生型マウスに比べて大きく変動する医薬品を探索した反転腸管を用いたin vitro輸送試験において,Abcc3^-/-マウスではメソトレキサートの吸収速度が低下することを見いだし,MRP3が肝臓の他,消化管(基底膜側)にも発現し,刷子縁膜側トランスポーター(PCFTやRFC)とともに,メソトレキサートの消化管吸収に働くことが示唆された。メソトレキサートについては,Abcc3-/-マウスにおける腎臓一血漿濃度比が野生型よりも大きく,腎臓における薬物輸送にも関与していることが示唆された。本発見は消化管で医薬品の吸収にABCトランスポーターが働くことを示した初めての例である。さらに,Abcc3-/-マウスでは,抗がん剤イリノテカン投与後,活性体であるSN-38の血漿中濃度が低いことを見いだした。イリノテカンが肝臓で加水分解されSN-38へと変換されることから,肝臓で生成したSN-38が血漿中へと分泌される過程にMRP3が働くことが示唆された。Abcg2-/-マウスでは,植物エストロゲンの他,ダントロレン,プラゾシン,トリアムテレンの脳や精巣中濃度が野生型マウスに高く,これら医薬品はBcrpにより関門でくみ出しをうけることが明らかになった。プラゾシンはP-によるくみ出しも受けるため,ダントロレンの方がBCRPに対する選択性が高いことが明らかになった。
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