2006 Fiscal Year Annual Research Report
網膜解毒機構としての網膜関門排出輸送担体の同定と生理的役割
Project/Area Number |
18390048
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
細谷 健一 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (70301033)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立川 正憲 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 助手 (00401810)
畑中 保丸 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (30111181)
水口 峰之 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 助教授 (30332662)
|
Keywords | 血液網膜関門 / マイクロダイアリシス法 / 有機アニオン輸送担体 / 排出輸送 / estradiol 17-β glucuronide / dehydroepiandrosterone sulfate / Oatp |
Research Abstract |
血液網膜関門(BRB)は、網膜内の神経活動で産生される神経伝達物質やホルモンの代謝物である有機アニオンおよび網膜内に移行した薬物を排出する解毒機構を有すると考えられるが、その機構は今のところ不明である。本研究は、BRBにおける有機アニオン排出輸送機構を解明し、その輸送担体を同定することを目的とした。モデル有機アニオンとして、estradiol 17-β glucuronide([^3H]E17βG)またはdehydroepiandrosterone sulfate([^3H]DHEAS)とbulk flowマーカーとして、[^<14>C]D-mannitolとを同時に硝子体内に投与し、マイクロダイアリシス法を用いて硝子体における[^3H]標識薬物と[^<14>C]D-mannitolの濃度推移を測定し、[^3H]E17βGおよび[^3H]DHEASのBRBを介した排出輸送を評価した。Organic anion transporting polypeptide(oatp)のmRNA発現量は、磁気ビーズ標識抗CD31抗体を用いて内側血液網膜関門の実体である網膜毛細血管内皮細胞を単離し、リアルタイム定量PCRを用いて解析した。[^3H]E17βGと[^3H]DHEASの硝子体からの消失速度定数は[^<14>C]D-mannitolの消失速度定数よりも約2倍高いことが示され、E17βGおよびDHEASの硝子体からの消失は眼房水等からのbulk flowだけでなくBRBを介して排出されていることが示唆された。[^3H]E17βGと[^3H]DHEASの消失はそれぞれ非標識0.3mM E17βGと0.1mM DHEASで50%以上阻害された。さらに、有機アニオン輸送系に広範な基質認識性を有する1.0mM probenecidおよび0.6mM sulfobromophthalein存在下、およびoatp2の特異的な基質である0.35μM digoxin存在下で有意に阻害された。一方、organic anion transporter(oat)の基質である0.7mM p-aminohippuric acidはE17βGおよびDHEASの消失に影響を与えなかった。網膜毛細血管内皮細胞にはoatp1,2,3および14のうち、oatp2および14のmRNAが高く発現していることが示された。以上の結果から、E17βGおよびDHEASは硝子体から血液側へBRBの輸送担体を介して排出輸送されており、その排出には少なくともoatp2が関与していることが示唆された。
|
Research Products
(4 results)