2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子組換え型機能性アルブミンの設計とDDSへの応用
Project/Area Number |
18390051
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小田切 優樹 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (80120145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤池 孝章 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (20231798)
丸山 徹 熊本大学, 薬学部, 教授 (90423657)
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Keywords | アルブミン / 組換え体 / DDS / 生理活性 / 変異体 / S-ニトロソタンパク質 / 動態特性 / 担体 |
Research Abstract |
本研究は、当研究室において構築された遺伝子組換え技術を基に、高いリガンド結合能や血中滞留性などが付与された、安全性、有効性かつ経済性に優れた機能性アルブミンを設計し、ドラッグデリバリーシステム(DDS)へ応用することを目的とする。今年度は、新規NO補充療法を目指し、比較的長寿命で安定な新規S-ニトロソタンパク質の調製とその物性について検討した。すなわち、反応性に富むと思われる410番目のアルギニン(Arg)をCysに変異したHSA(R410C)に着目して、R410CをS-ニトロソ化させ、SNO-R410Cを作製した。その結果、以下の知見を得た。 S-ニトロソタンパク質の中性溶液中や凍結乾燥状態における安定性は非常に高く、S-ニトロソタンパク質の乾燥状態での保存は可能であると考えられる。SNO-R410Cは高い抗菌活性を有し、数十nMという極めて低い濃度で菌の増殖を阻害した。抗アポトーシス活性に関しても、SNO-R410Cの高い活性が確認された。GS-NOは投与後素早く血中から消失し、投与10min後には検出できないのに対し、SNO-HSA、SNO-R410C投与後では、120min後においても十分検出できる範囲内であった。 このことからも循環血中において、SNO-R410Cは十分に活性を示すことができる程の安定性のあることが示唆された。肝虚血再灌流障害モデルラットを作製し、in vivoにおける生物活性を検討した。R410C投与では認められなかった保護効果が、SNO-R410Cでは強く認められ、その効果は、SNO-HSAよりも高かった。このことは血中における安定性がこの保護効果に重要であることを裏付けるとともに、SNO-R410Cはin vivoにおいても非常に有効であることが確認された。
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