2007 Fiscal Year Annual Research Report
キトサンカプセル及び排出阻害剤を用いたプレドニゾロンの二機能性大腸送達法の開発
Project/Area Number |
18390055
|
Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
山本 昌 Kyoto Pharmaceutical University, 薬学部, 教授 (00166779)
|
Keywords | キトサンカプセル / プレドニゾロン / 大腸特異的送達法 / 排出阻害剤 / 炎症性腸疾患 |
Research Abstract |
一般にキトサンカプセルは、大腸に豊富に存在する腸内細菌で崩壊するため、薬物を大腸に特異的に送達することができる。本研究ではこうしたキトサンカプセルの特徴を利用して、キトサンカプセル内に炎症性腸疾患治療薬であるプレドニゾロンを封入し、本カプセル経口投与後のプレドニゾロンの大腸特異的送達性について検討した。その結果、プレドニゾロン含有キトサンカプセル経口投与後のプレドニゾロンは、主に小腸下部や大腸に存在し、小腸上部にはほとんど存在しないことが認められた。一方、対照群としてゼラチンカプセル内にプレドニゾロンを封入し、本カプセル経口投与後のプレドニゾロンは、小腸上部にほとんど局在し、小腸下部や大腸には移行しないことが確認された。したがって、キトサンカプセルを用いることによりプレドニゾロンを大腸に特異的に送達できることが明らかとなった。しかしながら、プレドニソロンとP糖タンパク質の阻害作用を有するpolyethylene glycolを併用しても大腸への移行性には変化が認められなかった。さらに、キトサンカプセル内にプレドニゾロンを封入し、本カプセルを経口投与した場合、trinitrobrnzene sulfonic acid(TNBS)注腸による大腸炎に対し、ゼラチンカプセル群に比べ優れた治療効果を有することが認められた。また、プレドニゾロンを封入したキトサンカプセルを経口投与した場合、ゼラチンカプセルの場合に比べ胸腺の萎縮があまり観察されず、キトサンカプセルはプレドニゾロンの全身的な副作用の軽減にも有効であることが確認された。これらの知見は、炎症性腸疾患治療薬であるプレドニゾロンの有効かつ安全性の高い投与形態の開発に有用な基礎的情報を提するのと思われる。
|
Research Products
(1 results)