2006 Fiscal Year Annual Research Report
人工リンパ組織によるリンパ管の誘導と抗腫瘍免疫療法の研究
Project/Area Number |
18390062
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Research Institution | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
Principal Investigator |
末松 佐知子 独立行政法人医薬基盤研究所, 基盤的研究部免疫細胞制御プロジェクト, プロジェクトリーダー (50250345)
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Keywords | 人工リンパ組織 / ストローマ細胞 / 生体適合性高分子マトリクス / サイトカイン / リンパ管 |
Research Abstract |
1)「人工リンパ組織」とは、我々独自の方法により組織工学的に構築される獲得免疫機能を有する人工組織のことである。「ストローマ細胞、サイトカイン、生体高分子材料」の3要に骨髄由来活性化樹状細胞を組み合わせてマウスの腎皮膜下に移植することにより構築される人工リンパ組織は血管豊富な組織であり、効率のよい獲得免疫機能を誘導可能であることから、リンパ管の形成について血管形成と比較しながら詳細に解析を行った。その結果、人工リンパ組織構築のための3要素を移植した5日後から血管形成が観察されるのに対して、LYVE-1陽性のリンパ管の形成はそれより数日遅れて観察され始め、14日目頃にはLYVE-1/Prox1共に陽性の成熟したリンパ管が出現することが明らかとなった(今年度の免疫学会で報告)。 2)人工リンパ組織による抗腫瘍免疫効果について検討を行った。ある癌細胞であらかじめ免疫しておいたマウスの体内で我々の従来の方法に従って人工リンパ組織を構築した。週間後にこの人工リンパ組織を同系の未処置マウスに移植した後に腫瘍細胞を皮内注射したところ、人工リンパ組織を移植しない未処置マウスに比べて腫瘍縮小効果のあることがわかった。人工リンパ組織を移植されたレシピエントマウスの体内では人工リンパ組織内に取り込まれた腫瘍細胞特異的なリンパ球により、腫瘍細胞に対する免疫反応が誘導されたと考えられる。
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