2007 Fiscal Year Annual Research Report
人工リンパ組織によるリンパ管の誘導と抗腫瘍免疫療法の研究
Project/Area Number |
18390062
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Research Institution | National Institute of Biomedical Innovation |
Principal Investigator |
末松 佐知子 National Institute of Biomedical Innovation, 基盤的研究部・免疫細胞制御プロジェクト, プロジェクトリーダー (50250345)
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Keywords | ストローマ細胞 / 生体適合性高分子マトリクス / リンパ管 / サイトカイン |
Research Abstract |
我々は二次リンパ組織に類似した「人工リンパ組織」を組織工学的にマウスの腎皮膜下で構築することによって二次リンパ組織の発生と適応免疫反応誘導に関与する重要因子の相互作用を解明し、さらに人工リンパ組織の適応免疫機能を利用して疾患の治療に応用することを最終目的として研究を続けている。本研究課題では、最近特異的マーカー分子が発見されたことによってその発生機構の解明に大きな進展か期待されるリンパ管を人工リンパ組織に誘導すること、腫瘍のリンパ節転移のメカニズムを調べるための新しい実験モデルを構築すること、及び新しい抗腫瘍免疫療法を開発することを目的としている。 昨年度までに人工リンパ組織には血管が豊富に新生することが分かっていたため、当該年度はリンパ管形成との関連を調べながらさらに詳細な免疫組織学的解析を行った。その結果、血管形成より数日遅れてリンパ管内皮マーカー陽性の形態的に未熟なリンパ管構造が出現すること、ほとんどすべての人工リンパ組織にはリンパ管が形成されること、また血管形成が少ない人工リンパ組織ではリンパ管形成も稀であることがわかった。さらにEvans blueを用いたlymphangiographyにより、人工リンパ組織に新生するリンパ管が機能的であり、ほとんどが輸出リンパ管であること、また内腔にリンパ球を多数含むリンパ管も多数存在することが明らかになった。以上の結果から人工リンパ組織は正常のリンパ節同様の機能的なリンパ管を有しておりリンパ管形成やリンパ管転移メカニズムの研究モデルとしての有用性で期待できること、また人工リンパ組織がマウス個体において効率のよい適応免疫機能を発揮する理由の1つにリンパ管形成が関与していることが示唆された。
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Research Products
(4 results)