2008 Fiscal Year Annual Research Report
人工リンパ組織によるリンパ管の誘導と抗腫瘍免疫療法の研究
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18390062
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Research Institution | National Institute of Biomedical Innovation |
Principal Investigator |
末松 佐知子 National Institute of Biomedical Innovation, 基盤的研究部免疫細胞制御プロジェクト, プロジェクトリーダー (50250345)
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Keywords | ストローマ細胞 / 組織工学 / リンパ管 / サイトカイン / 適応免疫 / リンパ球ホーミング |
Research Abstract |
我々は組織工学的に構築した「人工リンパ組織」の優れた適応免疫機能を疾患の治療に応用することを最終目的として研究を続けている。本研究課題では人工リンパ組織へのリンパ管の誘導と人工リンパ組織による抗腫瘍免疫の誘導、及びこれらのメカニズムの解明を主たる研究目的としている。前年度までの詳細な免疫組織学的解析とlymphangiographyによって人工リンパ組織は血管豊富な組織であり、機能的なリンパ管が血管形成より遅れて形成されること、またこれらのリンパ管のほとんどが輸出リンパ管であることが明らかになったため、当該年度は人工リンパ組織による抗腫瘍効果を検証する研究を行った。 人工リンパ組織構築のためにBALB/cマウス由来のストローマ細胞を用いていることから専らBALB/cマウスを用いて研究を行っている。人工リンパ組織による抗腫瘍効果を評価するためにBALB/cマウス由来の腫瘍細胞株に遺伝子を導入し、モデル腫瘍抗原安定発現細胞株を樹立した。この腫瘍細胞株を用いて予め免疫しておいた正常BALB/cマウスの腎皮膜下で構築した人工リンパ組織(T-aLTと略称する)を移植したT-aLTレシピエント重症複合性免疫不全マウス(SCIDマウス)に当該腫瘍細胞を皮内接種し、腫瘍増殖に対する抑制効果を検討したところ、T-aLTによって導入できるリンパ球数が少ないにも関わらず優れた腫瘍増殖抑制効果を示すことが分かった。また、in vivoあるいはin vitro CTL解析によりT-aLTのレシピエントSCIDマウスではモデル腫瘍抗原に特異的な細胞障害性T細胞が誘導されることも明らかとなった。これらの実験結果からT-aLTの移植により効率よく抗腫瘍免疫を導入することが可能であり、T-aLTには腫瘍特異的な細胞傷害性T細胞の集積率が高いことが示唆された。
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Research Products
(6 results)