2007 Fiscal Year Annual Research Report
CLC-5とKCC4による胃プロトンポンプ共役型塩素イオン分泌機構の分子生理
Project/Area Number |
18390064
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
酒井 秀紀 University of Toyama, 医学薬学研究部(薬学), 教授 (60242509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森井 孫俊 富山大学, 医学薬学研究部(薬学), 准教授 (60019130)
高橋 佑司 富山大学, 医学薬学研究部(薬学), 助教 (30422629)
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Keywords | 胃腺 / 胃酸分泌細胞 / 細管小胞 / プロトンポンプ / トランスポーター / 塩素イオン / CLC-5 / KCC4 |
Research Abstract |
本研究では、胃酸分泌細胞において、K^+-CI^-共輸送体(KCC4)およびCI^-/H^+対向輸送体(CLC-5)が胃プロトンポンプ(H^+,K^+-ATPase)とどのように機能共役し、胃酸分泌を調節しているのかを解明することを目的とした。 ブタ胃粘膜より調製した胃細管小胞に富むベシクル(TV)および分泌膜に富むベシクル(SA)において、H^+,K^+-ATPaseはTVおよびSAの両方に高発現する一方、KCC4はSAのみに、CLC-5はTVのみに高発現していた。免疫沈降実験で、KCC4とCLC-5は、それぞれSAとTVのH^+,K^+-ATPaseと共沈した。胃腺においてKCC4とCLC-5は共に、酸分泌能の高い頚部の胃酸分泌細胞に高発現し、酸分泌能の低い底部の胃酸分泌細胞にはほとんど発現していなかった。一方H^+,K^+-ATPaseは頚部および底部の両方に高発現していた。 H^+,K^+-ATPase特異的阻害薬のSCH28080は、SAの塩素イオン輸送活性を阻害したが、TVにおける活性に影響を与えなかった。興味深いことにKCC4阻害剤のDIOAは、SAのプロトン輸送活性およびSCH28080感受性K^+-ATPase活性(H^+,K^+-ATPase活性)を阻害したが、TVにおける両活性に影響を与えなかった。H^+,K^+-ATPaseを安定発現させたHEK293細胞にKCC4Tet-onsystemを導入し、免疫沈降実験を行ったところ、KCC4とH^+,K^+-APaseは共沈した。 以上の結果から、細管小胞ではCLC-5がH^+,K^+-ATPaseの活性を調節しているが、分泌膜においてはKCC4とH^+,K^+-ATPaseが、互いに活性を調節しあうことが明らかになった。
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