2008 Fiscal Year Annual Research Report
CLC-5とKCC4による胃プロトンポンプ共役型塩素イオン分泌機構の分子生理
Project/Area Number |
18390064
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
酒井 秀紀 University of Toyama, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 教授 (60242509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森井 孫俊 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (60019130)
高橋 佑司 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 助教 (30422629)
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Keywords | 胃酸分泌細胞 / プロトンポンプ / 塩素イオン / トランスポーター / CLC-5 / KCC4 / ベシクル / 細管小胞 |
Research Abstract |
本研究では、CLC-5およびKCC4による胃プロトンポンプ共役型塩素イオン分泌の分子生理基盤について、胃プロトンポンプ(H^+,K^+-ATPase)とCLC-5、KCC4の機能連関に着目し、新しい生理機能を解明することを目的とした。 まず、CLC-5が高発現している胃細管小胞に富むベシクルにおいて^<36>Cl^-取り込み実験を行ったところ、ATPの存在下のみに観察されるCl^-の輸送が、H^+,K^+-ATPaseの特異的阻害薬のSCH28080によって阻害されることを見出した。またH^+,K^+-ATPaseを安定発現させたHEK293細胞に予め^<36>Cl^-を取り込ませ、SCH28080感受性のCl^-輸送活性を測定したところ、この細胞にCLC-5を安定発現させた場合に有意に活性が上昇した。これらの結果からCLC-5がCl^-/H^+交換輸送体であり、H^+,K^+-ATPaseにカップリングした二次性能動輸送体として機能しているものと考えられた。 次に、H^+,K^+-ATPase安定発現HEK293細胞に、KCC4のT-RExシステムを導入した。KCC4の発現によりH^+,K^+-ATPaseの発現量は変わらなかった。KCC4発現細胞から調製した膜標品において、H^+,K^+-ATPaseのATP加水分解活性は変化しなかった。しかし、アンモニウムパルスによる細胞内酸性化からの回復速度を、細胞内pH変化を指標に測定すると、KCC4発現細胞では、未発現細胞に比べて有意に回復速度が上昇した。上昇した回復速度はKCC阻害薬のDIOAによって未発現細胞と同レベルにまで抑制された。この結果は、KCC4の発現によりH^+,K^+-ATPaseのH^+輸送活性が有意に上昇したことを示しており、KCC4とH^+,K^+-ATPaseのイオン輸送機能が連関していることが明らかになった。
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Research Products
(19 results)