2006 Fiscal Year Annual Research Report
ノックアウトマウスを用いたムスカリン性アセチルコリン受容体の機能解析
Project/Area Number |
18390073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松井 稔 東京大学, 医科学研究所, 助手 (50282611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川島 紘一郎 共立薬科大学, 薬学部, 教授 (70095008)
藤井 健志 同志社女子大学, 薬学部, 助教授 (80255380)
山田 静雄 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (80106434)
竹内 正吉 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00171611)
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Keywords | 膜胱括約筋 / ムスカリン受容体の弛緩機構 |
Research Abstract |
松井:ムスカリン性アセチルコリン受容体ノックアウトマウスM1KO,M2KO,M3KO,M4KO,M5KOを系統維持し、これらを交配して各種の複合変異マウスを作成した。これらを用いて平滑筋や唾液腺における各サブタイプの役割を明らかにした。 山田:WT,M2およびM3KOマウスを用いて、過活動膀胱治療薬(抗コリン薬)の各組織ムスカリン性受容体結合活性を検討した結果、インビボにおいて新規抗コリン薬のソリフェナシンは、プロトタイプのオキシブチニンに比べ、顎下腺などの他の臓器と比べ膀胱のM3受容体に選択性が高いことを初めて明らかにした。その他、トルテロジンの膀胱ムスカリン性受容体結合選択性並びにヒト膀胱受容体に対する抗コリン薬の結合親和性と明らかにした。 竹内:マウス膀胱括約筋におけるムスカリン受容体を介した弛緩機構の解明 マウス膀胱括約筋標本を用いてムスカリン受容体を介した弛緩機構を検討し、現在までに次のような結果を得ている。M-KOマウス膀胱括約筋標本を用いた結果より、弛緩を生じさせる受容体はM_3 subtypeであることが明らかとなった。M_3受容体の活性化による弛緩にはNOとATP-P2Y_1受容体系が関与していることが示唆されている。 川島:リンパ球コリン作動系が,免疫機能の調節に関与しているかを検討するために,M_1およびM_5 mAChR遺伝子欠損(M_1/M_5 KO)マウスを用いて,卵白アルブミン(OVA)で免疫して,OVA特異的IgG_1およびIgM抗体産生と脾細胞によるIFN-γとIL-6産生を調べて,野生型マウス(WT)と比較検討した.M_1/M_5KOマウスでは,OVA特異的IgG_1抗体産生とIL-6産生が低下していた.しかし,OVA特異的IgM抗体産生には変化がなかった.これらの結果から,M_1およびM_5 mAChRは,抗体産生の開始には影響を及ぼさないが,IL-6産生の調節を介して,IgMからIgG_1抗体へのクラス・スイッチに影響を及ぼす可能性が示唆された(投稿中).
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