2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18390080
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
入江 賢児 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (90232628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内木 隆寛 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教 (70420081)
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Keywords | RNA結合タンパク質 / 上皮細胞 / ネクチン / アファデイン / Stau / 筋分化 / 細胞分化 |
Research Abstract |
多細胞生物の発生や分化の過程では、細胞内においてさまざまなタンパク質が時空間的に不均等に局在または合成され、これが各細胞の運命決定・特異的な機能発現に重要な役割を果たしている。これらタンパク質の不均等な局在や局所的な合成は、細胞骨格の不均等な配置などの細胞極性に依存しており、多細胞生物においては細胞間接着が細胞極性の形成すなわち細胞骨格やタンパク質の不均等な局在に重要な役割を果たしている。細胞極性形成の生化学的な分子機構の解明は、個体の発生や維持の制御機構を理解する上でも大変重要である。本研究では、ネクチン-アファデイン系の細胞間接着による細胞極性の形成機構に焦点を絞り、ネクチン-アファデイン系の細胞間接着の形成から接着シグナリングを介したタンパク質および細胞骨格の不均等な局在の形成機構、すなわち細胞極性確立の分子機構を明らかにすることを目的としている。また従来までのタンパク質の局在機構に加え、最近神経細胞などで報告されているmRNA局在と局所的翻訳機構を上皮細胞においても存在するのかどうか検討する。本年度の研究では、RNA結合タンパク質Stau1の機能解析を行い、以下の成果を得た。 (1)ショウジョウバエにおいてmRNAの局在に重要な役割を果たすRNA結合タンパク質Staufenのヒトホモログをクローニングし、神経細胞だけでなく、上皮細胞においても発現していることを確認した。 (2)Stau1がmRNA制御を介して筋分化の運命決定を担っているか検討し、Stau1をノックダウンしたC2C12筋芽細胞では、筋の分化誘導処理に応答し誘導される転写因子であるmyogeninの発現が分化誘導を行わなくても上昇し、分化誘導処理を行わない場合でも筋分化が進行することを見出した。さらに、Stau1と共にSMDに関与しているUpf1をノックダウンした細胞では、分化誘導処理を行なわない場合、筋分化は進行しないことから、Stau1はSMD非依存的に筋分化を抑制することが示唆された。
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