2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18390083
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浦野 健 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70293701)
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Keywords | 分裂期キナーゼ / リン酸化モノクローナル抗体 / p53 / 基質特異性 / セリン / スレオニンキナーゼ / Aurora / p21 / WAF1 |
Research Abstract |
細胞分裂期の染色体分配など複雑な物理的ストレスをがん細胞が回避する機構を解明する端緒として,様々なストレスに反応する転写因子であるp53およびその下流の実働分子であるp21/WAF1が細胞分裂期にAuroraによりリン酸化され,それらの機能が細胞分裂期特異的に不活性化されていることを見出した。 Auroraは分裂期に活性化されるセリン/スレオニンキナーゼで,染色体不安定性に関与している。 1,p53とAuroraファミリーとの結合について,強発現系において両者の結合を確認した。 2,p53およびか21/WAF1がAuroraの非常に良いリン酸化基質になることを確認した。さらに変異型p53を基質としてSer215およびThr284が実際リン酸化されることを確認した。 3,全長p53cDNAを用いて,p53を有しないH1299細胞に強制発現させ,p21/WAF1の発現をイムノブロットにより観察した。リン酸化を模倣した変異を導入したp53ではp21/WAF1の発現誘導を認めなかった。 4,ヒトp53のリン酸化特異的抗体の作製が難航しているため,p53の5カ所ある予想リン酸化部位の正当性を検討し,Auroraの基質特異性について以下のように論文にまとめた。 (1)Aurora-AはR-X-S/Tをリン酸化コンセンサス配列とするアルギニン指向性のキナーゼであった。 (2)Aurora-Aと-Bの基質特異性はリン酸化部位のP+1にあった。 (3)作成したマウスモノクローナルT288リン酸化Aurora-A抗体はin vitroでAurora-Aのキナーゼ活性を阻害した。 がん細胞における染色体動態に伴う物理的ストレス回避の分子機構の解明により,がんの新たな理解を目指し,さらにその分子構造を破壊することでがん細胞特異的な標的治療への応用が可能になる。
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