2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18390094
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
鈴木 聡 秋田大学, 医学部, 教授 (10311565)
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Keywords | PTEN / PI3キナーゼ / 癌抑制遺伝子 / 脂質 / ホスファターゼ / 血管内皮細胞 / 糖尿病 |
Research Abstract |
多くの細胞成長因子はPI3キナーゼを活性化し、PI3キナーゼはホスホイノシチド-4,5-二リン酸(PIP2)をホスホイノシチド-3,4,5-三リン酸(PIP3)に変換し、細胞増殖亢進、細胞死抵抗性に働く。PTENは主にホスホイノシチド3,4,5-三リン酸(PIP3)を主な基質とする脂質ホスファターゼで、PI3キナーゼの作用を負に制御する癌抑制遺伝子である。PTENのDNA変異は数多くのヒト悪性腫瘍において認められ、さらにPTENの先天性のヘテロ変異はCowden病などの、過誤腫を呈して悪性腫瘍を高頻度に合併する疾患群を呈することが報告されている。PTENの蛋白レベルでの発現低下〜消失やPI3キナーゼの活性化の認められる悪性腫瘍は全悪性腫瘍の約半数以上を占めることから、現在イノシトールリン脂質を制御するPI3K/PTEN経路の研究が非常に注目されてきている。 我々は平成18年度にはNKT細胞においてPTENを欠損させると、成熟NKT細胞が減少し、成熟NKT細胞の単位細胞あたりの増殖能・IFNγ産生能などの機能が低下して腫瘍免疫監視機構が障害されることを、皮膚でPTENを欠損させると電場による細胞遊走と創傷治癒が加速されることを、膀胱上皮でPTENを欠損させると膀胱癌が発症し、ヒト膀胱癌においても高頻度なPTENの発現減弱〜消失があることを、インスリン受容体発現細胞でPTENを欠損させるとインスリン感受性の亢進や成長障害、ラ氏島の増大を来すことを見出した。また、好中球の遊走に重要なPIP3ホスファターゼとしてはPTENよりもSHIPが重要な役割を演じ、SHIP欠損によって好中球遊走が低下することなどを見出し、これらを報告した。
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Research Products
(13 results)