2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18390099
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
門松 健治 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80204519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 幸弘 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (20312316)
岸田 聡 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20402563)
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Keywords | グリコサミノグリカン / ケラタン硫酸 / 神経損傷 / 神経再生 / コンドロイチン硫酸 |
Research Abstract |
我々はN-acetylglucosamine 6-Osulfotransferase(GlcNAc6ST)-1のmRNAが胎生期マウス脳の視床に発現することを見出し、さらにGlcNAc6ST-1が脳ケラタン硫酸(KS)の生合成とグリア性瘢痕形成に重要な役割を果たすことを報告した。KSはガラクトースとN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)の2糖の繰り返し構造からなるグリコサミノグリカンである。ガラクトースとGlcNAcの各々のC6位が硫酸化される。特に後者の硫酸化はKS鎖の伸長に必須である。GlcNAc6STはこの硫酸化を担うと考えられてきたが、中枢神経系のKS産生を担うGlcNAc6STは同定されていなかった。免疫組織染色によると、KSに特異的な抗体5D4に反応するKSは野生型マウスの胎生期脳の視床の特異的に発現し、GlcNAc6ST-1 mRNAの発現様式と一致した。GlcNAc6ST-1欠損マウスの脳では5D4反応性KSが完全に消失した。欠損マウスでのKSの消失はさらに5D4(高硫酸化KSを認識)およびEFG11(低硫酸化KSを認識)によるウェスタンブロットでも確認した。さらにKSプロテオグリカンの一つフォスファカンのKSもGlcNAc6ST-1欠損マウスで消失していた。大脳皮質に刺傷を与えると、GlcNAc6ST-1欠損マウスの脳では5D4反応性KS発現誘導が起こらず、グリア性瘢痕の形成が著しく抑制された。グリア性瘢痕は傷害された神経軸索の再生を抑制する因子として知られている。実際、GlcNAc6ST-1欠損マウスでは神経軸索再生が助長された。さらにこれらの知見を発展させるために、マウス脊髄に圧迫性の損傷(圧挫モデル)を与え、神経機能の回復を見たところ、欠損マウスの機能回復が有意に早いことが判明した。
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Research Products
(6 results)