2007 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン抵抗性による膵β細胞小胞体ストレスと糖尿病発症に関する研究
Project/Area Number |
18390103
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
谷澤 幸生 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 教授 (00217142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯尻 俊昭 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (80346551)
植田 浩平 広島大学, 保健管理センター, 講師 (50325221)
鶴 政俊 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (20379960)
太田 康晴 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (60448280)
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Keywords | wolfram症候群 / 糖尿病 / 小胞体ストレス / 膵β細胞 / インスリン / pioglitazone |
Research Abstract |
pioglitazoneは糖尿病モデル動物において、膵β細胞を保護することが示されているが、そのメカニズムは必ずしも明らかでない。我々は若年発症のインスリン欠乏型糖尿病と視神経萎縮を主徴とする劣性遺伝性疾患であるWolfram症候群の原因遺伝子、WFS1の欠損マウスにおいて、pioglitzone糖尿病の発症を著明に抑制することを見いだした。WFS1を欠損するβ細胞は小胞体ストレスに脆弱である。A^y(agouti yellow)変異により、軽度の肥満とインスリン抵抗性を獲得したWFS1欠損マウスは、β細胞での小胞体ストレスが充進し、β細胞死が著明に加速され、糖尿病を発症する。このβ細胞死による糖尿病の発症はpioglitazoneの投与により著明に抑制された。この際、ラ氏島における小胞体ストレス応答(unfolded protein response,UPR)は持続しており、全身のインスリン抵抗性軽減のみではない、pioglitazoneのβ細胞への直接保護作用が示唆される。このメカニズムを解明するため、wfs1^<+/+> A^y/α、wfs1^<-/-> A^y/α及びそれぞれにpioglitazoneを投与したマウスのラ氏島における遺伝子発現の変化をmicroarrayにより解析した。ラ氏島及びMIN6細胞でpioglitazoneにより発現が誘導される候補分子を同定した。この遺伝子プロモーターにはPPARγ結合部位が存在し、実際に同部位にPPARγがpioglitazone依存性に結合することがChIP法により示された。この分子がpioglitazoneによるβ細胞保護に関与する可能性とその機序について検討を進めている。 糖尿病と並んでWolfram症候群の主徴のひとつである視神経萎縮の発症機序も未解明であり、視覚系細胞の障害メカニズムはβ細胞障害と共通する可能性もある。WFSIの欠損による視神経萎縮の機序を解明する手がかりとして、視覚系におけるwfs1の発現を詳細に検討した。wfs1の発現は網膜から1次、2次視覚野にわたり、視覚系に広く分布していた。wfs1の視覚系における役割、視神経萎縮の発症機序解明の手がかりとしたい。
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Research Products
(10 results)