Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇於崎 宏 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (10296246)
坂谷 貴司 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (50431903)
牛久 哲男 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60376415)
日野 るみ 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (60451770)
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Research Abstract |
EBウイルス関連胃癌におけるエピジェネティック異常: 癌抑制遺伝子プロモーター領域のCpG繰り返し配列のシトシンにメチル化がおきると,転写が抑制され癌の発生を促進する。このようなメチル化異常を高頻度に起こしている胃癌は高CIMP型胃癌と呼ばれている,我々は,EBウイルス関連胃癌が高CIMP型胃癌であることを明らかにしたが,今年度は,さらに癌抑制遺伝子p73のプロモーター領域にEBウイルス関連胃癌特異的にメチル化が起きていることを明らかにした(Ushiku, et. al. Int JCancer 120:60,2007)。 さらに,EBウイルス関連胃癌の周囲胃粘膜でDNAメチル化の頻度を検索したが,陰性胃癌の周囲胃粘膜と差はなく,いずれも低頻度であった。EBウイルス胃癌の場合には,DNAメチル化の亢進はEBウイルス感染に伴って引き起こされる異常であると,考えられた。 EBウイルス感染系による解析: 組みかえEBV持続感染胃癌細胞株と親株との比較で,EBウイルス関連胃癌の特徴であるアポトーシス抵抗性が,複数のEBV感染胃癌細胞株において再現されていた(Hino, et. al. Cancer Res68:1427,2008)。この系を用いることによって,潜在期ウイルス蛋白LMP2AがNF_KBを活性化し,抗アポトーシス蛋白の発現を亢進させていることを見出した。 EBウイルス潜在期蛋白トランスジェニックマウスによるメチル化促進機構の解析: EBウイルス潜在期蛋白を胃特異的に発現させるため,胃壁細胞特異的H^+K^+-ATPaseプロモーターを用い,その下流にLMP2a,EBNA1遺伝子を結合させた組み換えベクターを構築した。これを用いて,トランスジェニックマウスを作製し,胃上皮細胞にEBウイルス潜在期蛋白の発現を確認した。EBウイルス関連胃癌の発癌過程モデル作製の突破口になると期待される。
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