2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18390113
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中山 淳 Shinshu University, 大学院・医学系研究科, 教授 (10221459)
|
Keywords | 星細胞腫 / グリコサミノグリカン鎖 / ヘパリン結合性増殖因子 / RNA干渉 / 細胞走触能 / 硫酸転移酵素 / 分子病理 |
Research Abstract |
本研究の目的は神経膠腫におけるコンドロイチン硫酸E(CS-E)の役割を明らかにすることである。プレイオトロピン(PTN)やミッドカイン(MK)はCS-Eと結合することから、本年度はこれらヘパリン結合性成長因子に対する膠芽腫細胞の走触性を解析した。先ず、in situ hybridizationにより培養膠芽腫U251細胞でGalNAc4S-6ST mRNAが発現していることを示した。次に、RNA干渉によりGalNAc4S-6STの発現が低下したU251細胞を用いて、Tris-HClに溶解したPTN、MK、酸性線維芽細胞増殖因子(FGFa)に対する走触性を解析した。Control siRNAを導入したU251細胞では、Tris-HClと比較しPTNに対する走触性が有意に増加した。一方、GalNAc4S-6ST siRNAを導入したU251細胞では、Control siRNAを導入したU251細胞と比べて、PTNとMKに対する走触性が有意に減少した。FGFaではこの様な走触性の変化が見られなかったことから、CS-Eとヘパリン結合性増殖因子との結合がU251細胞の浸潤能亢進に繋がる可能性が示された。次に31症例のヒト星細胞腫においてPTNとMK、並びに神経系で発現するコンドロイチン硫酸プロテオグリカンであるPTPζの発現を免疫染色により解析し、それぞれ83.8%、67.7%、93.5%の症例で検出された。PTPζは通常活性化型であるが、PTNやMKと結合することで二量体化して不活性型となり、PTPζの基質蛋白におけるチロシンリン酸化レベルは亢進する。免疫染色によりPTPζはU251細胞で発現していることが示されたことから、今後はU251細胞におけるPTNやMKに対する細胞走触性亢進の分子機構について、PTPζ下流のシグナル伝達に焦点を当てながら解析する予定である。
|