2006 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌の発生、進展に関与する第18番染色体長腕のがん抑制遺伝子の同定
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18390118
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堀井 明 東北大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40249983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂村 眞琴 東北大学, 大学院医学系研究科, 非常勤講師 (10201584)
江川 新一 東北大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (00270679)
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Keywords | 膵がん / 癌抑制遺伝子 / 18q / RNA干渉 / miRNA |
Research Abstract |
膵癌において18qの欠失はきわめて高頻度である。本領域にはSMAD4遺伝子があるが、遺伝子導入によりin vivoでのみETSを介した血管新生抑制により増殖抑制を示す一方、正常18番遺伝子の移入によりin vitro、in vivoの両方で増殖抑制効果が見られるため、18qにはSMAD4遺伝子以外に、膵癌の増殖に密接に関わる遺伝子が存在すると考えられている。また、18qの欠失は初期変化であり、欠失の有無に関わらず、SMAD4タンパクは正常に発現している。われわれは、18qの共通欠失領域を同定し、その領域にマップされている遺伝子をデータベースで調べたところ、現時点では全部で121遺伝子がマップされていた。そこで、この121遺伝子全てに対しsiRNAを設計し、ノックダウン実験を始めている。次年度は平行してmiRNAについても検討を加える計画である。 分子生物学的研究を行う際、ligation反応を効率的に進める必要があるが、極めて迅速かつ安価に行うための改良型バッファーシステムを開発した。 膵癌で高頻度に不活性化されているDUSP6はMAP kinaseの経路でERKを特異的に脱リン酸化するが、膵癌細胞においてDUSP6を補うと増殖抑制する。DUSP6を補う前後での運伝子発現の変動をマイクロアレイ解析すると、AURKA遺伝子の発現がETS2を介して抑制されることが判明した。AURKAはノックダウンにより増殖抑制、アポトーシスが誘導され、taxane系薬剤と相乗効果を示すため、さらなる検討を加えている。 家族性膵癌の原因遺伝子がマップされている4qにはFBXW7遺伝子がマップされている。膵を含む各種臓器に発生した癌での異常を検討したが、構造・発現の変異は低頻度であった。しかし、脳腫瘍において特異的に3種類あるisoformのうちのβ-formが特異的に発現抑制されていることを検出した。現在、発現抑制機構を検討中である。
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Research Products
(5 results)